10月8日(月)、新宿のロフトプラスワンに行きました。それも昼間です。まだ眠くてボーッとしている時間でしたが、ロフトに来るとシャキッとしました。
この日は月刊『創』プレゼンツのトークライブで、「やまゆり園事件」を考える。月刊『創』編集長の篠田さんと精神科医の香山リカさんも次々と話します。事件の全体像もこれで分かりました。
さらに「関係者」も呼んでます。以前、「やまゆり園」に勤めていた人も来た。そして、この事件について調べている人たちです。
これは不思議な事件です。知的障害のある人を、そこにかつて勤めていた人間が次々と殺したのです。
抵抗出来なくて、向かってこれないから殺した。そういう面はあるでしょう。誰でもいいから殺した。そんな事件がかなりあります。
多くの人を殺した。どうせ死刑になる。いや、死にたい。でも死ぬ勇気がないから、死刑にしてもらいたい。そのための凶行だ。
でも、この犯人は、ちょっと違います。かなり長い間、この犯行を心に決めていたんです。
そして、この病院だからやったのです。本か何かで読んで知的障害者は、何ら国家のためになってない。他人に迷惑をかけているだけだ。いっそ、死んでもらった方がいい。じゃ、オレが殺してやろう。そんな気持ちです。
間違った「愛国心」なんです。国のためにならない人間はオレが殺す。そう思いつめたんでしょう。
これが愛国思想だとか、「優生思想」だとか言われてますが、(たとえ冗談であれ)、人々が口にする考えなんでしょう。彼はモロに信じて実行した。
たとえ、そんな愚かな考えを持っていても、普通ならやれない。又、絶対出来ない。
ところが彼は、かつて「やまゆり園」にいた。そしてその〈思想〉も一理あると思ったのでしょう。知的障害者はダメだ、と思ったのでしょう。
そういう考え方を持った人をこういう場に入れてはダメなんですね。
でも彼は、勤務中にやりたかった。点滴を外した看護師も同じでしょう。こんな人たちはいなくてもいいと思った。
彼は、やる機会はあったが、勤務中にやったら、すぐに犯人だと分かり捕まるからでしょう。
だから、辞めてから、しばらく経って、夜中に忍び込んだ。かって知ったる病院の中だ。全く抵抗出来ない人たちを次々と殺したのです。酷いですね。
午前4時頃で、最も警備が緩い時間だと言えます。でも、窓ガラスを破り、乱入したのです。
病院中の人が起きて、「敵」と闘ったら、凶行を防げたのではないかと思います。でも、出来なかったのですよ。
しかし、無抵抗な人々をよくも次々と刺し殺したものですね。酷い話です。
終わってから、元やまゆり園に勤めていた人に私は聞きました。
どうして彼を取り押さえることが出来なかったのか。又、殺された人と生き残った人の差はどこにあったのかと。詳しく話してくれました。
これからは、病院に入る時は、どこから「敵」が襲って来るか分からない。だから、防衛を考えないといけない。まさか、そんなことはないかと思いますが、本当にそんなことも考える時代になるかも知れません。そんな話もしました。
これは私どもも真剣に考える必要があると思いました。
この日は月曜ですが、満員でした。昼の1時から始まりましたが、12時頃から入れて、すぐに満員でした。皆、関心を持っていたんですね。だから皆、来たのでしょう。
篠田さん、香山さんの話も、実に詳しいし、分かりやすかったです。
どうして犯人は凶行に走ったのか。なぜ、誰も止められなかったのか、などについても話してくれました。会場もシーンと水を打ったように静かになって、聞いていました。
こうした問題は、これからも、いろんな所で起きるのかも知れません。
「いらない人間だ」「国に迷惑をかける人間は非国民だ!」と思った人間は多分、〈愛国心〉や〈正義感〉で凶行を行ったつもりでしょう。
しかし、それがまず間違いですね。「愛のない愛国心」であり、間違った「正義感」なんですね。
多分、これからも、こうした考え違いをする人間は多く出るでしょう。それが心配です。
この日はロフトで午後1時から5時まで、ビッチリトークを聞きました。一人として帰る人はいませんでした。
終わってから、登壇者に私は質問しました。又、マスコミの人に私の方も取材されました。中身の濃い集まりでした。
そのあと、レーニン事務所に行って映画を観ました。昔、観ていますが、忘れていた映画です。
大正時代の大逆事件の映画です。皇太子さまを殺そうとしていた、朴烈と金子文子の物語です。
昔、右翼青年だった私は、この話は知ってましたが、国賊であり、許せない連中だと思ってました。激怒してました。
その後、この人たちについて本を読むこともなく、調べることもなく、過ごしました。
ところがこの映画を観て、大逆事件についての考えが変わりましたね。
朴烈についても、朝鮮人ではあるが、熱烈な民族主義者ですよ。ゲッ、オレはまだ民族主義者だと思っていたが、「もう左翼になった」「転向した」と、言われてるんだ。
私は今もそう思ってないですが、朴烈の(朝鮮民族であるが)強い民族主義に心打たれたんです。
オレたちも民族主義者だからと思ったんです。「敵」だと思っていた朴烈に民族主義を教えられたのです。
そして凄い人だ、そんなに主義に忠実な人だったのだ、と思いました。個人の考え方もいろいろです。〈愛国心〉〈正義感〉は、やはりそれだけでは危ないと思いますし、又、国際時代には誤解される要素になる。
それから、ナショナリズムも論争されるような時代になると思います。キチンと考えてみたいと思っています。
そこでこれからは、じっくりと考えて、いつか一冊の本にして出したいと思っています。
今年は体調を崩して全く本を書いていません。何も考えていないのと同じです。
だから、今年のテーマにしたいと思います。よろしくお願いします。
①10月8日(月)午後1時から。ロフトプラスワンに行きました。月刊『創』プレゼンツのやまゆり園刺殺事件についてのトークがあり、聞きに行きました。『創』の篠田編集長、精神科医の香山リカさんを中心に事件の話をし、やまゆり園に以前、勤めていた人たちを含めてのトークでした。私たちが知らないことも話され、大いに勉強になりました。