2018/07/16 鈴木邦男

豪雨の中、岡山、函館へ行った

岡山一水会の集いで。7/6(金)
岡山一水会の集いで。7/6(金)
木村代表の講演
木村代表の講演
番家誠氏の挨拶
番家誠氏の挨拶

7月6日(金)から日本列島はもの凄い豪雨でした。

そして西日本は大きな被害を受けました。特に広島、岡山などです。

長い間、雨は降り続き、川は氾濫し、山は崩れ、多くの人が亡くなりました。その数日間で200人以上の人が亡くなったと報じられました。

新聞はどこも、「平成最悪の水害」と書き立てました。もうすぐ平成は終わります。だから「平成最後」だし、「平成最悪」なのです。

私は、その平成最悪の風水害の中を新幹線に乗りました。この日、7月6日(金)、岡山で「一水会岡山レコン読者の集い」が執り行われたからです。

夕方から始まるので、昼の新幹線で来てくれ、と言われ、昼に乗りました。

でも大変な雨です。「今出る新幹線は全て新大阪までです。そこからは引き返します」と放送されてました。

どうなるか分からないが、とにかく行こうと、乗りました。

新幹線は新大阪までは大丈夫でした。カーッとなって、キレて、刃物を持ち出す人間もいないし。

もし、そんな人間いたら、闘わなくちゃ。悩んで、どうしようと心配してた。雨だったのでカサだけは持ってましたし、それで闘うしかないか。そんな悲壮な覚悟をして、乗ってました。

しかし、そんなトラブルもなく、新大阪に着きました。ここまで来て、東京に引き返すのもシャクだなと思ってました。

長野から来た平田君も同乗してました。「ここからバスかなんかないか?岡山に行くのは」と聞きましたが、ないようです。普通列車もない。

ただ、岡山、広島まで出ている新幹線はたまにあるという。ほんの少しだが、それに飛び乗った。幸い、岡山まで行ってくれた。

ありがたい。そして無事、岡山に着いた。

ただ、新幹線には、ただボーッとして乗っていたわけではない。平田君の携帯やメールを通して岡山一水会とは常時、連絡を取っていた。

随分と申し込みがあったが、この豪雨で、とても来れないと思い、一旦は「中止にします」と発表した。でも講師の木村氏は私たちの1本あとの新幹線に乗って岡山に向かっている。私も向かっている。平田君たちも向かっている。

「じゃ、その人間たちだけでもやった方がいいだろう」と私も打診して、遅れてやることになった。

6時から始まる予定だったが、一旦は中止。会場には行かず、集会のお店に行く。二次会(懇親会)の会場として借りていた店だ。

そこで木村氏を待ち、合流し、「読者の集い」を始めた。

人数は少なかったが、地元の代表、幹部連中が参加してくれた。

木村氏は「せっかくだから」と、今日やる予定だった講演を少し短くして、やる。一水会の歴史から、日本が当面している対アメリカとの闘いなどについても語る。

そのあと、私も講演した。学生時代の「憲法改正運動」に燃えた日々について話し、そのあと、24条を書いたベアテ・シロタ・ゴードンさんに会って、「日本側の責任」にも気づかされた。

そして今は、着々と日本の安倍政権のもとでの「改憲」運動が進められている。その間違いについて話をした。

さらに、岡山一水会の代表の番家誠氏が話す。岡山一水会は初めての支部として発足し、活動してきた。集会をやり、機関紙を出し、合宿をやり…と。又、岡山空港反対闘争などもやった。それらについて話す。

発足時は、皆、大学生だった。大学生が中心になって岡山一水会は出来た。

そして、岡山は、昔から維新運動の拠点でもあった、という話を私もした。番家氏もした。

岡山の日本原というところに、維新運動の原点とも言うべき所があり、そこを拠点に運動を始めた。又、「維新運動」の拠点にもなり、全国から多くの人が集まった。その中心が岡山県の奈義町だ。ここの町議会で、「明治憲法復原決議」をやった。

これは驚いた。私も学生の時だったし、東京の新聞でその「事件」を知った。「一体、これは何だ!」「何が起こったんだ」と思った。

昭和も随分と進んでるのに、大正でもなく、明治」だよ。奈義町の人たちだって驚いたことだろう。岡山は昔から、真面目に運動をしてきた人たちが多くいた。日本原で住んで運動をしてる人の中には奈義町町会議員もいて、そして決議したのだ。これは凄い話だ。

又、現行憲法が米国に押し付けられたのだから、これはやめる。そこには明治憲法が生きているから、そこに戻し、そのあと、全面的に、あるいは部分的に変えたらいいという理屈だ。法律的には筋が通っていると思う。正当な法律論の問題だ。でも、「岡山は明治にいるようだ」と言っていた奈義町の人々もいた。新聞にその声が出ていた。

その他にも、岡山ではいろんな運動があったし、続けられてきた。そのことが、いろんな本にも書かれている。今度、じっくりと取材し、話を聞いてみたいと思っている。

それと、この日、つまり7月6日(金)は、もう一つ大変なことがあった。新幹線の中でオウムの処刑を知った。新聞を買い、ネットやメールで情報を集めた。

オウム真理教の麻原たち7人が突然、死刑を執行されたのだ。何の予告もなく、トップから7人が殺された。「これでもうオウムの論議は必要ない」と言わんばかりのやり方だ。

死刑を宣告されてるんだ。文句はないだろう、と政府や法務省は考えがたのか。「お前たちがあんな集会をやるからだ」と言う人もいる。

前にこの欄でも書いたが、麻原をこのまま死刑にしていいのか、という問題だ。今、麻原氏は、刑を受けられる状況ではない。精神のバランスは崩れ、今、自分が何をしているか。何をされようとしてるかも分からない。面会しても、誰と会ってるのか分からない。これでは、刑の執行は出来ない。

でも、オウムの麻原を殺さない限りオウムは終わらない、と思う人がいる。だから大量処刑したのだ。

「これはおかしい」「精神科の医者に診せろ」と我々は言って集会を開いた。論議があるのは当然だ。でも、「これは面倒なことになった」と思った人々がいた。

そして台風、豪雨で日本列島が分断され、機能してない時を狙ってやったのだ。処刑はこの2日前に急に決まった。

さらに、この大雨では抗議も来れない。と思ったのだろう。実際、テレビや新聞でも「麻原処刑」は大きく出たが、すぐに終わった。「もう終わったことだから」と言わんばかりだ。岡山一水会では、そんな話も出ました。

函館の唐牛さん墓前祭で。7/7(土)
函館の唐牛さん墓前祭で。7/7(土)
元赤軍派のキムさんと 元赤軍派のキムさんと

そして、翌日7月7日(土)は、実は函館で唐牛健太郎さんの墓前祭がある。それに参列することになっていた。

唐牛さんは60年安保の時の全学連委員長だが、国会に突入し安保と闘い、華々しい闘いをしました。私たちにとっては、レジェンドです。

全共闘の人々は、「敵」として学園で闘った。論争し、殴り合いをした。

でも、唐牛さんや当時の学生たちはずっと前だし、右や左を超えている。日本のために闘った人々という意識だ。

ある集会で唐牛さんに会い、一水会のフォーラムにも出てもらい、講演してもらった。

元サンボの仲間の西村君と 元サンボの仲間の西村君と

亡くなってからは、この函館山の墓地は毎年来ている。

でも今年は豪雨だし、行けないかな、と思った。でも途中からでも行こうと、出発した。

岡山空港から羽田までは順調だ。羽田から函館も順調に飛んでいた。凄い。

そのあと、函館山に急いだ。午後3時から墓前祭は始まっていた。

元赤軍派のキムさんもいる。

又、昔、一緒にサンボでロシアの格闘技をやった西村君も来ていた。今は『東洋経済』の編集長だ。懐かしくて、格闘技の話をしていた。ロシアに一緒に行ったし、毎週、大久保の道場で稽古していた。唐牛さんとも縁があって、今日、来たという。

他にも、多くの人々と会った。

秋山祐徳太子さんと 秋山祐徳太子さんと

唐牛さんが亡くなってもう30年以上になる。奥さんは健在だったが、病気のため亡くなってしまった。

お葬式にも出たが、「唐牛の墓に入れて欲しい」とのことで、函館山でお墓に入れた。「唐牛氏二人、函館に帰る」と地元の新聞には大きく出ていた。

墓前祭が終わり、市内のお店で懇親会をやる。随分、人が増えた。100人以上はいたようだ。私も話をした。

終わって、9時過ぎだ。そして函館山の展望台に行った。タクシーに乗って。いつも必ず来ていた。

でも今日は荒れていて、霧が出ている。夜景は見えない。いつもは見えるのに。日本で一番美しい夜景だと思う。私はそう思っている。

全員で
全員で
真っ赤な墓も
真っ赤な墓も
ロシアの教会
ロシアの教会
こんなテーマパークも
こんなテーマパークも
霧の展望台です
霧の展望台です

【だいありー】

神谷明さん。ザ・ニュース・ペーパーの人たちと。7/10(火)
神谷明さん。ザ・ニュース・ペーパーの人たちと。7/10(火)
渡部又兵衛さんと
渡部又兵衛さんと
松下アキラさんと
松下アキラさんと
前川喜平さん。7/11(水)
前川喜平さん。7/11(水)
一水会フォーラムは満員
一水会フォーラムは満員
木村代表、前川さんと
木村代表、前川さんと
懇親会で
懇親会で
河合塾の福田さん(右)と
河合塾の福田さん(右)と
  1. 7月9日(月)午前中、原稿。
     夕方、雑誌の対談。
  2. 7月10日(火)午後7時、銀座博品館。「ザ・ニュース・ペーパー」30周年記念公演。面白かった。
  3. 7月11日(水)昼、図書館。午後6時半、一水会フォーラム。前川喜平さんが講師。多くの人が集まった。
  4. 7月12日(木)今日から学校は夏休み。学校は休みで授業はないが、学校の自習室に行って勉強。図書館よりも静かでいいし、受験生の意気込みが伝わって、いい。
     夕方、中野図書館に行った。ZEROホールでは前川さんの講演をやっていた。
  5. 7月13日(金)午前中、原稿。
     午後2時、取材。
     6時、対談。
  6. 7月14日(土)午前中、原稿。
     午後、図書館で勉強。
  7. 7月15日(日)朝7時発の新幹線で名古屋へ。
     9時過ぎ、名古屋で岩井正和氏と落ち合い、「愛知サマーセミナー」へ。愛知県下の大学・高校が参加してやるセミナーで、日本でも一番規模が大きい。会場も県下の10校ほどの大学だ。私は女子大で講演。
     そこで11時から12時半まで講演し、そして質疑応答。「愛国心」について語る。
     そのあと、主催者や先生方と打ち上げ。
     最終の新幹線で帰る。
「クーヨン」に原稿
「クーヨン」に原稿

【写真説明】

岡山一水会の集いで。7/6(金)

①台風と豪雨の中、行きました。岡山に。でも、「大雨で中止だ」と帰った人が多かったのですが、残った人たちとやりました。

木村代表の講演

②木村三浩代表が講演しました。

番家誠氏の挨拶

③番家誠氏(岡山一水会代表)が講演しました。

函館の唐牛さん墓前祭で。7/7(土)

④次の日は、岡山から羽田へ。そして函館へ。60年安保の全学連委員長・唐牛健太郎さんの墓前祭に出ました。今年は奥さんも亡くなられ、その追悼祭もやりました。私は唐牛さんの思い出を話しました。

元赤軍派のキムさんと

⑤元赤軍派のキムさんも来てました。犯罪をやって全国を逃げ回り、でも無事、時効を迎えたんです。偉いです。

元サンボの仲間の西村君と

⑥ロシアの格闘技サンボを一緒にやっていた西村豪太君も来てました。「どうして?」と思わず聞きました。唐牛さんと縁があった。そうして西村君とは一緒にロシアにも行きました。

秋山祐徳太子さんと

⑦秋山祐徳太子さんも来ていた。

唐牛さんの甥っ子さん

⑧唐牛さんの甥っ子さんも来てました。

懇親会で

⑨このあと、市内で懇親会をやりました。

2人の写真を持って

⑩唐牛さん、奥さんの写真を持って。

全員で

⑪全員で記念撮影をしました。

真っ赤な墓も

⑫唐牛さんのお墓のそばに、こんなド派手なお墓がありました。真っ赤です。「天下の号外屋」さんのお墓です。

ロシアの教会

⑬ロシアの教会です。「天主公教会」です。見物の人も多くいました。私も高校の修学旅行で来ています。

こんなテーマパークも

⑭函館空港から、お墓に行く途中にありました。「哀愁テーマパーク」と書かれています。でも、「土方・啄木浪漫館」ですよ。ジャンルがあまりにも違うんじゃないかと思いますが、武人と詩人が「哀愁」で括られてます。

霧の展望台です

⑮函館の展望台にはいつも登ってます。この日は霧で、全く見えませんでした。珍しいです。

神谷明さん。ザ・ニュース・ペーパーの人たちと。7/10(火)

⑯7月10日(火)。「ザ・ニュース・ペーパー」に行きました。30周年記念です。ご苦労様でした。「ザ・ニュース・ペーパー」の人たちと。そして左は声優の神谷明さんです。一緒に「ザ・ニュース・ペーパー」に出たことがあります。

渡部又兵衛さんと

⑰「ザ・ニュース・ペーパー」のリーダー・渡部又兵衛さんと。

松下アキラさんと

⑱「ザ・ニュース・ペーパー」の松下アキラさんと。

「クーヨン」に原稿

⑲落合恵子さんのやっている集会に呼ばれ、話した。彼女の『クーヨン』に講演要旨が載りました。

7/21(土)「カレー事件集会」

⑳7月21日(土)。カレー事件の集会があります。森達也さん、そして私も出ます。午後2時から大阪弁護士会館です。

前川喜平さん。7/11(水)

㉑7月11日(水)一水会フォーラム。講師の前川喜平さんと。

一水会フォーラムは満員

㉒前川さんが講師で来ているので、フォーラムは満員でした。

木村代表、前川さんと

㉓前川さん、木村氏と。

懇親会で

㉔懇親会です。

河合塾の福田さん(右)と

㉕河合塾のフェロー、福田典子さん(右)も来てくれました。最近、前川さんと会って飲んだそうです。左は典子さんの妹。元スッチーです。凄いです。

【お知らせ】

7/21(土)「カレー事件集会」
7/21(土)「カレー事件集会」
  1. 7月21日(土)大阪弁護士会館10F。午後2時より。「カレー事件集会」。「和歌山カレー事件から20年」。 第1部。講師・森達也(映画監督)。第2部。弁護団報告。「和歌山カレー事件再審請求と民事訴訟のいま そして これから」。森達也さんと鈴木邦男のトーク。
  2. 7月28日(土)午後2時。「マガ9学校」。山本譲司さん、江川紹子さん、鈴木邦男でトークがあります。さらにこのあとは、19時から、劇団再生で高木尋士氏と鈴木邦男のトークがあります。そのあと、再生の芝居です。
  3. 8月17日(金)一水会フォーラム。北川正人氏(千代田化工建設株式会社元社長)
    「世界地図の真のとらえ方(仮題)」。
  4. 9月11日(火)一水会フォーラム。講師:田母神俊雄氏。
  5. 9月16日(日)「大杉栄メモリアル2018=言葉と歌で日本の近現代史を振り返る=」。新発田市生涯学習センター。午後1時より。第1部講演。「米騒動から百年。大杉栄がみた大阪の米騒動」。
    第2部。大杉栄と絶叫歌人・福島泰樹
    第3部。対談。「大学紛争から50年」改めて問う右と左とは。福島泰樹:鈴木邦男。
    申し込み・お問い合わせ、「大杉栄の会」斎藤徹夫。
    FAX 025(422)3372へ。