2018/07/02 鈴木邦男

唐組を見た。大鶴義丹さんに会った

大鶴義丹さん(中央)と。6/22(金)
大鶴義丹さん(中央)と。6/22(金)
唐組の人たちと 唐組の人たちと

まさか、又、テントの芝居を観るとは思いませんでした。

6月22日(金)、椎野礼仁さんに誘われて行ったのです。花園神社のとこに建てられているテントでやっている「ユニコン物語」を観たのです。

唐組がやっていた。主演は大鶴義丹さんです。そして、大久保鷹さんです。

テント芝居は学生の頃に、よく観てました。面白かったし、あの頃の学生は、黒テント、紅テント…と、観ていた。

又、寺山修司、唐十郎…などは学生の青春でした。これらの芝居を観ないのでは学生じゃない、とも思われてました。

右派学生であろうと左派学生であろうと、時代の〈真実〉を観なくては、〈運動〉なんてやれないと思われてました。これは当然ですよね。

又、吉本隆明なども皆、読んでましたね。右派学生だからといって、「三島しか読んでない」なんてのはいませんよ。世の中を知らないと思われます。

だから、無理をしても、左派的なものであろうと、時代を映すものは皆、読んでました。

でも、その後、何十年も寺山や唐を見てなかった。テントの芝居も観てなかった。それが椎野さんに誘われて、花園神社に行ったのだ。

勇気を持って行ってみてよかった。当時とは別なものと感じた。

当時は、テントなんて、食えないからやってるんだろうと思っていた。

ホールを借りる金がないから、空き地にテントを作って、人民を集めて見せる、と。

テントの中の舞台です テントの中の舞台です

確かに初めはそんな面もあったんでしょう。ゴザを敷いて、地面の固い所に座る。そして、ギュウギュウに詰め込まれる。さらに人民の思いを知る、と。

でも今は違うんですね。テントはかなり金持ちのものです。

テントの中は暖房も冷房も入る。又、中はやけに立派だ。ちゃんとしたイスもあるし、通路や階段も立派だ。こりゃ、下手をしたら、新しい家を建てるよりも高くつくかもしれない。確かにその通りでした。

昔は学生を働かせて、土方をさせてテントを建てたのだ。今はそんなことはない。プロの人々が作っている。トラクターや機械も使っている。学生の労働ではとても建てられない。

それに中に入って驚いた。中央に舞台はあるが、そこからは外へと「自由」なのだ。

テントの幕をあけると、すぐに外になっていて、道があるし、坂もあり、一般の人々が通っている。車やバイクが走ってきて、舞台の上に乗り入れる。舞台は外に続いた〈世界〉なのだ。

これは凄い。舞台は広い世界に通じている。無限に広い場所なのだ。それをふんだんに使って豪華な舞台になっていた。

学生時代は何と、中央の舞台の幕が上がると、ズラリと機動隊が並び、今にも踏み込んでくる状況だった。私も、そんな時に出会ったことがある。芝居なのか、現実なのか分からない。多分、現実なんでしょう。

面白かったし、「あんなこともあったな」と思いながら観ていた。

そのあと、役者たちに紹介された。主演の大鶴義丹さんに会った。この人は唐十郎の息子だ。「30年前、この芝居を初演した時は、父が主役でしたが、今は僕がやってます」と言っていた。まるで歌舞伎役者ですね。いいですね。

娘さんもあとで挨拶していた。一家で来ている。大久保鷹さんも出ていた。この2人がそろうと、芝居に重みがあります。原作は唐十郎さんだが、演出は金守珍さんだ。金さんとは、前に何度か会ったことがあり、「あっ、鈴木さん。いらっしゃい」と声をかけられた。

芝居が終わってから、皆で飲んだ。月蝕歌劇団の高取英さんも来ていた。現代芝居は皆、寺山修司や唐十郎の流れを継いでいる。僕らも、それをずっと見てきた。

(左)大久保鷹さん (左)大久保鷹さん

私は、学生時代からこの2人の芝居はかなり観てきたし、本も読んできた。又、数年前には青森にある寺山修司記念館にも行ってきた。かなり不便で、遠かったが、立派な建物だ。学芸員の人にいろいろと聞いた。

「なぜ寺山氏には全集がないんですか」と。「全集」があった方が助かる。「何巻まで読んだ」と分かる。それで集中度が分かる。学芸員が言うには分野が広すぎて、全集は出来ない、と言う。これからも「全集」にする気はないらしい。でも、多くの分野で書きながら、「全集」を出している作家は多い。

変だな、と思いながら、記念館をずっと見た。そして分かった。「あっそうか!」と。

たとえば、小説、詩、脚本…だけなら、いくらあっても「全集」は作られる。

しかし、それが「趣味」の世界に入ると、難しい。寺山は、実は龍馬ずきだった。その小説、エッセーも書いている。

実は龍馬小説だけでも10冊以上ある。それらも「全集」の中に入れてしまうと、私は「全集」を読めるかどうか分からないし、読めないと思う。

だから「全集」はない方がいいのかもしれない。

この時は、他にもいろいろ行った。「キリストまつり」も5年前に行った。

キリストは実は十字架上で死んだのではなかった。逃げ出し、日本に亡命した。そこで一生を終えたという伝説がある。

その伝説に基づいて、キリストのお墓があるし、十字架もある。又、年に一度、「キリストまつり」という追悼祭も行われている。青森県はいろんな不思議なものがある。

最後、皆で舞台挨拶 最後、皆で舞台挨拶

そうだ。石川県には「モーゼの墓」があると聞いて、行ってみた。岩井さんの車で行った。でも山の頂上だし、歩いてたら、「クマに注意!」と書かれていた。

青森でピラミッドも見に行った時も、「クマに注意!」と書かれていた。「これ以上来ないでくれ!」ということらしい。そこまでにはこんな所が沢山ある。でも又、行ってみたいと思った。

そうだ。大鶴義丹さん、大久保鷹さんたちとビールを飲んだ。この時、寺山修司記念館に行った話をした。

他には6月26日(火)に早稲田に行った。白井聡さんと鴻上尚史さんの対談を聞きに行ったのだ。学生で一杯だった。

大鶴さんとは初対面だった。いろいろと話を聞いた。

又、他の劇団の脚本家や作家たちも沢山きていた。ずっと芝居の話をした。私はあまり知らないが、当時のドキドキする話を聞いて、面白かった。

【だいありー】

「桜の森の満開の下」を観た。6/25(月)
「桜の森の満開の下」を観た。6/25(月)
鴻上さんと白井さんの対談。6/26(火)
鴻上さんと白井さんの対談。6/26(火)
学生が大勢聴いてます
学生が大勢聴いてます
終わって、白井さんと 終わって、白井さんと
  1. 6月25日(月)家で原稿。
     6時、六本木。「桜の森の満開の下」を観ました。千賀ゆう子企画です。とても感動的な芝居でした。終わって、千賀さんと話をしました。
  2. 6月26日(火)昼から早稲田大学に行く。白井聡さんと鴻上尚史さんの対談。「二度目の敗戦をどう生きるか」。学生で一杯でした。
     終わって、2人と話しました。
  3. 6月27日(水)図書館。
大隈総長の前で 大隈総長の前で
  1. 6月28日(木)学校。
     3時、「現代文要約」。
     5時、「読書ゼミ」。今日はこの本を読んだ。原田伊織の『明治維新という過(あやま)ち=日本を滅ぼした吉田松陰と長州テロリスト』。凄いタイトルだ。ここまで言うか、と思った。明治維新でも過ちを犯してはいる。しかし、松陰らをテロリストと断罪していいのか。だったら、中世、古代の人間は皆、テロリストになるよ。
  2. 6月29日(金)原稿を書いていた。
  3. 6月30日(土)午前中、原稿。
     午後から新宿で、ブラックさんの独演会がある。そのあと、私と2人でトークをやる。楽しかったです。
     終わって、飲みました。ありがとうございます。
  4. 7月1日(日)図書館。
    午後、雑誌の対談。
池田さんの記念講演
池田さんの記念講演
「ゼノ神父」を演じた役者さんと
「ゼノ神父」を演じた役者さんと
カメラマンの福田文昭さん
カメラマンの福田文昭さん
福田文昭さんが撮った写真です。病院でのゼノ神父
福田文昭さんが撮った写真です。病院でのゼノ神父
「マリアさん」の妹さんです
「マリアさん」の妹さんです
椎根、瀧沢さんと三島についてのトーク。6/16(土)
椎根、瀧沢さんと三島についてのトーク。6/16(土)
ネットTV「ユリアの館」で
ネットTV「ユリアの館」で
ユリアさんと
ユリアさんと

【写真説明】

大鶴義丹さん(中央)と。6/22(金)

①唐組のテント公演を観ました。30年ぶりぐらいです。6月22日(金)。花園神社です。学生の頃によく観てましたが。大鶴義丹さんにも初めて会いました。

唐組の人たちと

②大鶴さん、大久保鷹さんと。

テントの中の舞台です

③これはテントの中です。舞台ですが、幕をあげると、もう外です。外から車やバイクが舞台に入ってきます。

(左)大久保鷹さん

④終わって、懇親会で。大久保鷹さんと。

最後、皆で舞台挨拶

⑤芝居の最後に役者の挨拶がありました。

鴻上さんと白井さんの対談。6/26(火)

⑥6月26日(火)早稲田大学で白井聡さんと鴻上尚史さんの対談がありました。聞きに行きました。とてもよかったし、勉強になりました。2人ともベストセラーを出してます。

学生が大勢聴いてます

⑦早大生が中心ですが、他の大学からも聴き生が多く、質問も活発にしてました。

終わって、白井さんと

⑧終わって、白井さんと。

鴻上さんたちと

⑨鴻上さんと。それと、彼のスタッフと。右は御手洗さんです。左は寅次郎君。

大隈総長の前で

⑩早稲田大学は懐かしく、歩き回りました。

池田さんの記念講演

⑪6月24日(日)浅草九劇で芝居を観ました。「アリの街のマリアとゼノさん」は、映画は小学校の時に観ましたが、芝居になると、又違います。新たな感動がありました。

「ゼノ神父」を演じた役者さんと

⑫ゼノ神父は役者も本物ととても似ています。いろいろと話を聞きました

カメラマンの福田文昭さん

⑬カメラマンの福田文昭さんです。この芝居も、彼に誘われて観ました。ありがとうございました。

福田文昭さんが撮った写真です。病院でのゼノ神父

⑭福田文昭さんが入院してたゼノ神父さんを見舞いに行き、写真を撮りました。これが最後の写真になりました。

「マリアさん」の妹さんです

⑮ゼノ神父のあとを追って「アリの街」に入った北原怜子さんは、「アリの街のマリア」と呼ばれました。
 若くして亡くなりましたが、実は妹さんがいて、今も健在です。この日も観に来ていました。

「桜の森の満開の下」を観た。6/25(月)

⑯6月25日(月)。六本木ストライプハウスギャラリーで、「桜の森の満開の下」の芝居を観ました。千賀ゆう子企画です。とても感動的で、よかったです。原作は坂口安吾です。私は坂口記念館(新潟市)に何回も行きました。館長の息子さんにも何度も会ってます。

椎根、瀧沢さんと三島についてのトーク。6/16(土)

⑰6月16日(土)椎野礼仁さん、瀧沢亜希子さんと。三島由紀夫「不道徳教育講座」を見る。そのあと、3人でトークをしました。

ネットTV「ユリアの館」で

⑱高円寺でネットTV「ユリアの館」に出ました。とても楽しい番組でした。美女が沢山出ています。

ユリアさんと

⑲司会の深月ユリアさんと。

【お知らせ】

  1. 7月6日(金)岡山レコン読者の集い。木村代表と鈴木が講演します。午後7時より。岡山市民会館・204号室。
  2. 7月11日(水)一水会フォーラム。午後6時半。ホテルサンルート高田馬場場。講師:前川喜平さん(前文科省事務次官)。演題:「昨今の騒動の真相に迫る」。
    7、8、9月の一水会フォーラムは同じ場所です。申し込みは電話・FAXで。電話:03(3364)2015。FAX:03(3365)7130。E-Mail:info@issuikai.jp
  3. 7月21日(土)大阪。「カレー事件」集会。森達也さんと鈴木がトークをします。大阪弁護士会館で。
  4. 7月28日(土)午後2時。「マガ9学校」。山本譲司さん、江川紹子さん、鈴木邦男でトークがあります。さらにこのあとは、19時から、劇団再生で高木尋士氏と鈴木邦男のトークがあります。そのあと、再生の芝居です。
  5. 8月17日(金)一水会フォーラム。北川正人氏(千代田化工建設株式会社元社長)
    「世界地図の真のとらえ方(仮題)」。
  6. 9月11日(火)一水会フォーラム。講師:田母神俊雄氏。