「これは凄い!」と思わず、唸るような会合に出ている。
それが、いくつもある。開催に私が関係しているわけではない。こっちはただの一人の「参加者」だ。だから客観的に見れるし、「これは凄い!」と言えるのだ。
たとえば、6月2日(土)、渋谷の「ロフト9」で、「ゴーマニズム宣言」のイベントがあり小林よしのりさんが出演した。
これは行かなくちゃと思ったら、予約はソールドアウトで、もう入れないという。店長に電話し、無理に一人だけ入れてくれと頼んだ。
小林さんとは昔から知ってるし、立ち見でもいいから聞きたいと思った。そしたら、「関係者」ということで入れてくれた。
凄い人だった。「ゴー宣」は今、「週刊SPA!」に戻って大躍進中だ。
中島岳志さんも来ていた。もしかしたら、渋谷ロフトが始まって以来、最大の集まりだと思う。
そして、次の日、6月3日(日)だ。午後から、明大前に行く。俳優の榎木孝明さんがやっている古武道の研究会に出る。
榎木さんは子供の時から合気道、柔術などを教え込まれていた。今、自らそれらを体系づけて、分類して、教えている。武道を生活現場で生かしている。
NHKにも出てるが、たとえば、看護、介護の人にも教えている。寝たきりの人、その人が大きくて太っていたらどうやって立ち上がらせるか。動かすか。特に小柄な人が看護をしていたら、とても動かせない。それを、古武道を使って、動かす。凄い人だ。それに、体を痛めた人、老人の人のための自衛術なども教えている。
この日は、たった一人の力で、5人、10人の大男の力をはね返す方法を教えてもらう。
又、自分がどんな声を発して、相手と対するか、それも大切だという。「感謝の気持ち」でいくのと、「許せん」「死んでしまえ」という憎悪の気持ちで相手に対するのでは、全然違うという。その実例を詳しくやってくれた。これはNHKで見た時も、疑問だったので、詳しく教えてもらった。
そして次の日、6月4日(月)だ。午後から参議院議員会館の会議室。大きな会議室なのだが、満員だった。マスコミの人も多い。オウム問題と麻原の死刑についての記者会見だったからだ。
登壇者だけでも凄い。森達也、雨宮処凛、想田和弘(映画監督)、香山リカ、宮台真司、田原総一朗と豪華だ。
逮捕されている「オウム死刑囚」の半分以上は最近、東京から地方の〈死刑の出来る地方刑務所〉に移された。「いよいよ死刑も近いのか」と思われている。
中心の麻原をどうするか、という問題がある。精神は大きな疾患を抱えており、全く状況を認識、理解出来ない。でも、「麻原はオウムの中心だし、どんなことをしても麻原を処刑しないとオウム問題は終わらない」と見る人が多い。
マスコミもそうだし、そう思わされた国民の多くもそう思っている。精神科医に見せるとか、治療をしてもらうとか、考えてない。
裁判の前は、精神科医の香山リカさんたちが麻原に会い、「病状」をみた。全く、麻原は現状を認識出来ない。大きな疾患がある。
それなのに「いや、正常だ」「責任を問える」と言って、処刑しようとしている。それはおかしいのではないか。これでは、かえって、オウム事件は終わらない。だから、精神科の医者に診せてほしい。裁判、処刑はそのあとのことだ。
そうだ。この日は、田原総一朗さんも、忙しいところを駆け付けてくれた。 この日は、それに関する資料が皆に渡された。さらに、麻原の「病気」を私はこう思う、といったコメントも入っている。
このことは今までテレビでも新聞でもやってこなかった側面だ。私も聞いていて、とても勉強になった。
かつてオウムは内外の知識人、宗教家から絶讃された。「麻原は、現代のキリストだ」と言ってた人もいた。
又、東大、京大では麻原の講演会がやられ、多くの学生が集まった。サークルが主催したとはいえ、大学が許可したのだ。東大、京大が認めたと思った。それで多くの優秀な学生がオウムに入ったのだ。
さらに、ダライ・ラマなども麻原を絶讃していた。
それもあってか、麻原はダライ・ラマに30年ほど前、ひんぱんに会いに行っている。インドの北、ダラムサラにあるチベット亡命政権の村に行ったのだ。
実は私も、そこに行ったことがある。ダライ・ラマは、中国から脱出し、インドの北部に「チベット亡命政権」を作っている。というところに惹かれたのだ。ペマ・ギャルポさんが案内してくれた。それに、チベット亡命政権を支持する日本の右派運動家たちも行った。
インドのニューデリーに飛行機で行き、そこから列車で二泊三日だ。これはキツかった。
そして、ダラムサラの「亡命政権」に行く。全く、普通の村なのだが、亡命政権だ。ダライ・ラマさんに会って話していると、その辺の草むしりをしてる農夫を呼び、「この人が国防大臣です」。「この人が文部大臣です」と紹介する。
全くリアリティがない。「?」と思った。でも、ここは亡命政権なのだ。自分たちがいつかチベットに帰れたら、そこで政権を取る。その時の大臣を決めているのだ。シャドウキャビネットだ。ただし、いつ政権に就くか分からないだから、「亡命政権」といっても、かなり、夢のまた夢になる。
私たちが行ってから10年後、オウムは行ったので、このように「大臣」を紹介されたようだ。そして麻原は「これだ!」と思ったようだ。
そうか。自分たちも日本の政権を取ろうとしている。じゃ、「大臣」を作ってみようと。後に、オウムで「○○大臣」を乱発したのは、この時の体験があったからだと思う。
そして、部下の人間から、「大臣」を作る。オウムの組織が大きく変わった。〈麻原独裁〉から、かなり「民主的な組織」になった。
でも、これはいいことかどうか分からない。アーチャリーによると、これはオウム崩壊の前段階になったという。つまり「麻原独裁」だったら、サリン事件などは起こらなかった。と言う。
ホントかな、と思うが。あるいは、そうかもしれない。そのことがあったので、私は、このダラムサラの話をした。
他には、田原さん、森さんなどが重要な話をしていた。
そして6月5日(火)は一水会フォーラムだった。元朝日の樋田さんが話してくれた。これが実に衝撃的な話だった。赤報隊事件後、犯人を探して右翼300人に会ったという。この300人の中には、大阪の畑時夫先生や岡山の武山さんなど、歴史的な人物もいる。とても勉強になる話だった。次はこの話を中心にして本を作って下さいとお願いしました。
そして、6月6日(水)だ。午前11時半、電話があった。「鈴木さんを待っている」「今日、打ち合わせの約束をしてた」という。アエラの編集者だ。あっ、しまった!と思い、急いでタクシーで行く。先週は北芝健さんで失敗した。
手帳には書いてるはずなのに、忘れたのかと思った。だから翌6月7日(木)は、早目に学校へ行った。
ところが学校に行くと、「やっぱり邦男さんは来た!」と皆に笑われた。今日は学校が休みだったのだ。調整日で休みだ。先週、聞いていたのに。ダメだな。でも、忘れて、サボったわけじゃないから、いいか。
そうだ。6月6日(水)、アエラの人と会った日だ。11時に会って、打ち合わせをして、そのあと、午後4時から憲政記念館に行った。
安倍政権打倒の集会だ。今までこの会館にはよく行っていて、何十回も行っている。でも、驚いた。今までの中で、一番人が集まっている。一番熱い集会だ。又、一人一人の話もいい。実に充実していた。こんなに人が集まるのは初めてだ。
壇上に書かれた看板もいい。〈6.6 オールジャパン総決起集会〉。そして〈愛・夢・希望の市民政権樹立へ!〉
30人ほどの人が次々と出て、喋る。そして鳩山由紀夫さんがいる。沖縄の山城さんがいる。共産党の穀田さんがいる。立憲、国民民主、自由党の人がいる。山田正彦さん、伊藤肇さん、東京新聞の望月衣塑子さんがいる。代表の植草一秀さんがいる。もの凄い豪華だ。
そして一人一人の内容もよかった。実に深いし、皆の胸に届く。私も頑張って話しました。孫崎享さんもいた。山本太郎さんも、アジってました。
〈安倍政権打倒〉を謳ってますが、単なる「打倒運動」で終わってはいない。いい話ばかりだ。一人一人と対談したいと思ったところだった。
そんな内容の濃い、ただ発言するだけでなく、人の心に訴える集会が連日のようにあって、とても勉強になりました。
①6月2日(土)午後2時。小林よしのりさんと。渋谷ロフト9。「週刊SPA!」創刊30周年。「SPAフェス」。〈小林よしのり「ゴー宣道場出版。保守とリベラルの役割。そして立憲〉。もの凄い人だった。予約はすでにソールドアウト。私は、頼んで何とか入れもらう。よしりん以外にも豪華なメンバーが。中島岳志。高森明勅。笹幸恵。泉美木蘭。倉持麟太郎…。面白かったし、とても勉強になりました。
②中島岳志さんと。前は北海道大学に勤めてましたが、今は東京工業大学です。新しい本をもらいました。『超国家主義』(筑摩書房)。とてもいい本です。「煩悶する青年とナショナリズム」とサブタイトルは出てます。