内田樹さんとの対談本『慨世の遠吠え2=呪いの時代を越えて=』(鹿砦社)の見本誌が送られてきた。
いい。素晴らしい。発売は2月15日だ。でも、2月10日には全国書店には並ぶだろう。
〈ともに思想家である内田樹と鈴木邦男が、己の頭脳と身体で語りつくした超「対談」。待望の第二弾!!〉
と表紙には書かれている。
私も全力を尽くして立ち向かった。それがよく表われているだろう。
内田さんはガッチリと受け止めてくれる。頭で考えるだけではなく、「己の頭脳と身体で語りつくした」と書かれている。
内田さんの道場で、合気道の稽古をつけてもらい、身体で教えてもらった。これは実際に体験した者でないと分からない。
さらに、場所を移して、闘いは進む。
書店でのトーク。京都国際マンガミュージアムで、又、池田屋で。各々の場所での闘いの様子は巻頭カラーグラビアで紹介されている。
カラー写真が沢山ある。本文中にも沢山ある。100点以上の写真が収められている。実にカラフルで豪華な本だ。贅沢な本だ。
今まで70冊ほどの本を出してきたが、この本が文句なしに一番豪華な本だ。写真を見ているだけで、楽しい。
そして、闘いの現場の雰囲気が伝わってくる。
表紙には、かわぐちかいじさん(漫画家)と白井聡さん(政治学者)の推薦の言葉が載っている。これも素晴らしい。何度も読んでしまった。
まず、かわぐちかいじさんだ。
〈国際情勢から武道、そしてマンガまで、「知」と「情」で切り拓く新たな地平。お二人の言葉に耳を澄ますと、「日本は面白い」と聞こえた〉
ありがたいですね。又、お会いしたいです。
かわぐちさんの漫画は、主なものはむさぼり読んだ。頼まれて、かわぐちさんの漫画に「解説」を書いた。
私なんかでいいのかなと思いながら書いた。
そして、一緒にお酒を飲んだ。感動的な夜だった。又、話をしたい。教えてもらいたい。
もう一人、「推薦の言葉」を書いてくれた、白井聡さんだ。
〈知のストリートファイターが繰り広げる真剣勝負は、混迷の時代に生きるための作法を教えてくれる〉
嬉しいですね。ありがたいです。実は、白井さんとは今、対談をしている。今週で3回目だ。もう1回くらいやって本になる予定だ。 祥伝社から、3月末には出るだろう。これも楽しみだ。
では、この本の目次だ。
『慨世の遠吠え2』
目次
はじめに 鈴木邦男
第一章 世界史のなかの日本史
第二章 国際情勢の変化と日本
第三章 属国ニッポンの行く末
第四章 木と樹のマンガ文化論
おわりに 内田樹
目次だけ見ていても面白い。
特に第四章だ。「木と樹のマンガ文化論」はいいね。「鈴木」と「内田樹」だ。だから「木」と「樹」だ。「樹」の方が圧倒的に大きいし、多い。一本の「木」などじゃ、全く太刀打ちできない。
それに、内田さんの「おわりに」だ。実に感動的な文だった。「鈴木邦男をどう見るべきか」が書かれている。
これは私だって分からない。いい加減に生きているからだ。他人からもそう見られている。
しかし「違う」と内田さんは言う。どんな人とも会い、話す。それが鈴木のスタンスだ。
もしかしたら、自分自身の原点、立脚点がないのではないか。「信念」「守るべきもの」がないのではないか。そう思われることもある。
うん、それは言える。本人だって、そう思うからだ。
しかし、内田さんの分析は違う。
内田さんは、まず、小津安二郎の残した至言を引きます。
「どうでもよいことは流行に従い、重大なことは道徳に従い、芸術のことは自分に従う」。
そして、「鈴木評」に移ります。
〈鈴木さんもたぶん小津安二郎のような重層構造になっているのだと思います。僕とのこの対談でも、「どうでもよいこと」については僕のおしゃべりをにこにこと聞き流し、「重大なこと」については興味深げに質問をします。でも、「ほんとうにたいせつなこと」については僕に同意を求めることすらしない。鈴木さんは自分が確信していることについては他人の承認を必要としていないからです〉
驚きました。これは自分でも知らなかったことです。
もしかしたら自分の中に(言葉には表現出来ないほど)ふつふつとして、あるのかもしれません。それを、ズバリと言われたのです。
さらに言います。
〈だから、鈴木さんはだれとでも会う人だと思います。どんな本でも読む。教えられて気づいたことがあれば、にっこり笑って「あっ、そうか」と膝を打つ。この開放性と身のこなしの柔軟さは、鈴木さんにとってのぎりぎり削ぎ落として最後に残る「絶対に譲れないところ」が細身の刀身のように鈴木さんの魂に深々と突き刺さっているからだと僕は思います。「そこだけはなにがあっても譲れないところ」をわきまえている人にとって、それ以外のことはすべて些事である。そういうことだと思います〉
これも驚きでした。自分なんて、ただ、いい加減に生きてるだけだと思ってたのに、どこかで、こんなことを考えていたのでしょうか。
ただただ驚きです。内田さんの眼力には恐れ入ります。
あるいは、「武道の先生」だからでしょうか。頭や口先だけでなく、身体の全体を見て分かるのでしょうか。いくら隠そうとしても、分かるのかもしれません。
いや、私のように、自分でも気づかないことまで摘出してしまうのでしょうか。
もう少し、内田さんの文を紹介します。
〈鈴木さんは「独立独行の人」であると思うと最初に書きました。それで、鈴木さんのあの温顔の下には、「ほんとうにたいせつなこと」を貫くためには、だれの同意も承認も求めない、そのようなものを求めても仕方がない、というきっぱりとした禁欲と諦念が蔵されていると思うからです。鈴木さんが笑顔を絶やさないでいられるのは、まわりの人間が鈴木さんをどう遇そうと、どう評そうと、それに動じることがないからなんだと思います〉
ウーン、唸ってしまいました。「禁欲と諦念」か。すごいですね。本当に、ただの、思い付きでものを言い、フラフラと遊び歩いてるだけの人間なのに。
内田さんは、こう表現してくれます。「そんな人間になれよ!」という叱咤激励の言葉かもしれません。
その意味でも、この本はとても大切な本です。
この本は私の「転生」の書になるでしょう。「ザインとしての鈴木」(今ある鈴木です)から飛び出して、「ゾルレンとしての鈴木」(こうあるべきだという鈴木)になれるのかもしれません。それを目指して、頑張ります。
内田さん、本当にありがとうございました。又、大変な苦労をして、この素晴らしい本を作ってくれた鹿砦社の福本高大さん。本当にありがとうございました。
この本を読みながら、私の長い右翼人生を思い出していました。
自分としては、頑張ってやったつもりだが、今考えると、恥多き人生だったと思います。
「これは正しいことだから」「なぜ皆は分かってくれないんだ」と思い、苛立ち、その怒りを周りにぶつけていたと思います。
警察ともトラブル続きで、何度も何度も逮捕されました。
そのたびに、周りの人に迷惑をかけっ放しでした。
警察が聞き込みに行く、あるいはガサに行く。「こんな奴と知り合いだからだ」「もう来ないでくれ」と皆、思ったでしょう。「こんな奴、死んでくれたらいいのに」と思った人もいたでしょう。
だって、「鈴木と知り合いだ」というだけで、ガサ入れされた人たちは、皆、そう思ってしまいます。
本当に申し訳ないです。私なんか生きていく価値はありません。生まれてきて申し訳ありません。という気分になります。だから、ずっと落ち込んでいたのです。
ところが、内田さんの文章を読んで、ハッと思いました。驚きでした。
こんな私でも、「生きていて、いいんだ」と思いました。少しでも生きる理由、生きる価値があるんだ、と思いました。
これは一大発見でした。本当にありがたかったです。この文章で甦りました。
だから、この文章は私の「転生」の文になりました。
この本の紹介だけで今週は終わりです。
本当は、大阪での「カレー事件」集会のこと。名古屋での「聖マルコ教会」での体験。「読書会」のことも詳しく書こうと思ったのですが、次にしましょう。
お陰様で『これからどこへ向かうのか』も売れてますし、評判になってます。
文化放送、共同通信でも取り上げられ、全国の新聞でも書評されました。
今まで、一番書評の出た本になりました。
3月には札幌時計台ホールで、この本について私が話します。そして鈴木亜繪美さんとトークをします。
又、名古屋の「聖マルコ教会」での体験も実に感動的でした。
私の高校の後輩が教会の牧師さんになってるのも驚きでした。
ミッションスクールの「教え」を一番理解して、受け継いでいるのが後藤さんです。
私は一番、裏切っている人間でしょう。「背教者」だと思います。
この反省も込めて、後藤さんとは、はっきりと話をしたいと思ってます。「転生」後の私の生活・活動の契機になった2日間(2月4日、2月5日)だったと思います。
小林多喜二については以前、単行本を書いたことがあるので、とても身近な感じがする。
夜6時半からホテルサンルート高田馬場。一水会フォーラムに出る。今月の講師は文芸評論家の富岡幸一郎さん。とてもよかった。
懇親会でも、三島の話などを詳しく聞きました。
⑤3月14日(火)午後6時より、札幌時計台大ホールで行います。「鈴木邦男シンポジウム」です。第22回なんですね。今回は、テーマは「これからどこへ向かうのか」。名古屋や東京でもこのテーマで読書会をやってますね。
札幌では、ゲストが私で、聞き手が鈴木亜繪美さんです。亜繪美さんは作家で、主な本は、「楯の会」会員たちの後を追った『火群(ほむら)の行方』などがあります。
⑩寅ちゃん、飛松さんと。これは懇親会のずっと前です。「カレー事件」の集会が始まる前です。私らが名古屋に着いた時、皆と合流しました。それからお昼ご飯を食べたのですが、その時に、もうビールを飲んでます。コーヒーも一緒に注文していました。
⑳「2月生まれの人は手を挙げて!」「皆でお祝いしましょう」となりました。平田君は、2月生まれで、ケーキの火を消してます。私も幼稚園の時、やってもらいましたね。「8月生まれの人は手を挙げて」と言われ、まとめてお祝いしてもらいました。今でも同じことをやってるんですね。
㉒「あんこピザ」です。ピザの中には、アンコが入ってるんですね。そうだ。私は以前、名古屋で、「あんかけスパゲッティ」を食べたことがあります。名古屋の食べ物は、アナーキーです。何でもありです。いいですね。
㉓坂野正人さん(カメラマン)から写真展の案内をもらい、見に来ました。坂野さんは、「イルカの保護・解放」の運動をやってます。イルカ・ウォッチングに私を連れて行ってくれました。又、イルカと一緒に泳ぐツアーにも行きました。あれは感動した。その運動のカメラマンかと思ってました。ところが違うんです。風景や、芝居や、人物…なども写し、写真展をやってます。
この日は、パントマイムの清水きよしさんをずっと追いかけてきた、その写真展をやったのです。又、清水さんと坂野さんのトークもありました。