明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
去年は年末まで、慌ただしく、そして、歴史の変わり目を感じさせられました。
ロシアとは平和条約締結に向けて大きく進み、日米関係も、安倍首相の真珠湾慰霊で大きく前進したと思います。
国外に「敵」を求め、罵り、罵倒して「自らの正義」を主張するのは簡単だし、それがなされてきた。
外交、それ以上にメディアがそうだ。この点では〈冷戦構造〉が続いていた。
又、「批判・糾弾」はメディアの見出しとして勇ましく、売れる。
一方、「話し合い」「和平」は、面白くない。売れない…と思われるのか、人気がない。
だから、「闘う決意」を示す方が簡単だ。「和平」の方が口にするのは勇気がいる。もしかしたら、支持者も離れるかもしれない。
だが、政治家としては、やる必要がある。
日露交渉で、「島の返還こそが目的だ」「交渉はやめろ」と言う人もいた。
机をひっくり返して退席したらよかったのか。それでは、全ては終わりになる。忍耐強くやるしかない。
そうしないと、1ミリも進まない。アメリカに対しても、そうだ。
真珠湾に行くことが、「謝罪になるからやめろ!」「あの戦争を全て否定するのか」と言う人もいる。
本当はやりたくなかったのにルーズベルトの謀略で、誘い込まれたのだ。暗号も全て読まれていたのだし…と言う人が、まだいる。
私らが大学の頃に、そんなことを大声で言いまくる人がいた。今もメディアにはいる。「むしろ日本は被害者だ」と言わんばかりだ。
でも、暗号が全部、敵に筒抜けになっていたのなら、そんな国には、戦争をやる「資格」はない。「資格」とは変な表現だが、戦争をやる国家にはなってない、ということだ。
冷え切っていた日米関係が、真珠湾慰霊で、良い方向に変わった。
冷え切る大きな「事件」は、平成25年12月26日に安倍さんが靖国神社を参拝したことだ。
同盟国アメリカは、理解してくれると思ったのか。勿論、事前に通告した。
ところが、在日米大使館は厳しいコメントを出した。
〈日本は大切な同盟国であり又友好国である。しかし日本の指導者が近隣諸国との関係を悪化させる行動を取ったことに米国は失望している〉
このコメントは衝撃的だった。「失望している」と記された「disappointed」は「裏切られた」とという意味も含むという。同盟国には通常使わない。
この声明を指揮したのは副大統領のジョー・バイデンだとされる。
その「経緯」を産経新聞(12月28日)ではこう書いている。
〈バイデンはこの2週間前、安倍に「韓国の朴槿恵(パククネ)大統領に『安倍は靖国神社に参拝しないと思う』と言っておいた。不参拝を表明すれば日韓首脳会談に応じるのではないか」と電話をかけていた。それだけに「裏切られた」と思ったようだが、安倍はもっと激怒し周囲にこうぶちまけた。
「同盟国である米国が中国と一緒になって靖国参拝を批判するとはどういうことだ。中国を利するだけじゃないか。オバマ政権に戦略性がないことがはっきりした!〉
アメリカは日本に失望した。いや「裏切られた」と思った。これは、キチンと記すべきだった。
それに対し、「失望したのは我々だ」と自民や保守派の連中は言った。
「でも、戦争で亡くなった人を慰霊するのは当然じゃないか。おかしい」という批判もあるだろう。
だったら、靖国で眠る人々はどう思っているのか。日本の平和のために戦争に行った人々だ。
それなのに、「自分たちの慰霊」という名目で、中国、韓国を批判している。これはたまらないだろう。日本や世界の平和のために亡くなったのに。
今、自分たちを利用して中国、韓国に喧嘩を売っている。それで又、険悪な状況になっている。
こんなことで戦闘状態が生まれたら大変だ。そう思っているのだろう。
前にも書いたが、この日、12月26日は、テレビの討論番組に出ていた。
休憩の時間に、局のプロデューサーが皆に、こんな話をした。
「靖国神社に行くことはアメリカにはかなり前に言っている。と同時に、中国、韓国にも事前に通告しているんです」と。
「同盟国アメリカ」なら、通告して当然だ。ところが、中国、韓国にはしないだろう。
中国、韓国から抗議が来る。そこは分かり切っている。
実はそれが目的だったと、プロデューサーは言う。
安倍さんの靖国参拝を見てから、抗議したのでは、遅れる。
それに、政府の上層部に届くまでは時間がかかる。
抗議が来たら、自民党はこう言う。「戦争で亡くなった人を慰霊するのは当然だ。
そうしたことにも中国、韓国は文句を言う。そんな外国からの不当な圧力には負けません…。
それで、「やっぱり自民党しかない」と人々は思い、投票する。そういう読みがある。
日本は中韓の批判、バッシングを浴びる。しかし同盟国アメリカだけは理解してくれる。そう思ったからこそ、こういう〈奇襲〉に出たのだ。中韓の批判、罵倒は来た。
しかし同盟国アメリカは「理解」してくれなかった。〈奇襲〉は失敗に終わったのだ。
その前から、安倍さんや保守派の人々からの奇妙な発言が出ていた。
たとえば、「慰安婦はいなかった」「いたのは売春婦であり、高給を取っていた」「南京大虐殺なんてなかった」…そんな言葉にアメリカは警戒感を持ったのだ。
さらには、「東京裁判」批判もやった。「勝った国が負けた国を裁けるのか」と。
確かに〈裁判〉としては問題がある。しかし、勝った国が負けた国を裁く政治ショーなのだ。
あれがなければ「戦争は終わった」と認識されなかったろう。あれが不当だというのなら、もう一度戦争をやるしかない。
〈歴史〉は大切だし、大事だ。
でも「自国の歴史」だから間違いがない。守らなくては…と思い込むのは危ない。
自国の歴史は全て正しい。批判するのは許せない…という保守派がいる。
でも、〈現在〉〈未来〉をよりよく生きるために、〈過去〉〈歴史〉を見、反省するのだ。
それなのに、〈過去の歴史〉に縛られ、現在、未来を犠牲にしては本末転倒だろう。
日本の伝統、慣習だから全て守らなくてはならない。というものではない。
チョンマゲ、切腹、仇討ち…は、長い間続いた。伝統、文化かもしれない。しかし、今、「復活しろ」「守れ」という人はいない。
国家の犯す最大の犯罪は〈戦争〉だ。それを再び繰り返してはならない。
このことは天皇陛下が、一番認識し、激戦地への慰霊の旅で(身をもって)語られている。
安倍さんも、そのことを感じているはずだ。
又、「靖国参拝」のあとの(アメリカの)「失望した」発言のあと、アメリカ側は、日本の学者グループからも随分とレクチャーを受けたようだ。
同盟国アメリカは、単にイデオロギーの「敵」「味方」だけでなく、果たして、その国には本当の民主主義があるのか、人権感覚があるのか。
そのことも問題にしている。そこで安倍さんも学んだのだろう。
「戦後レジームからの脱却」というのなら、単に政治的なことだけでなく、人権感覚や、「憎しみの連鎖」からの脱却も必要不可欠なんだと。
日露の交渉や日米の関係修復も。そして真珠湾慰霊もその延長の上にあったんだと思う。
戦争や革命が正義で、そのために命を捧げることが素晴らしいと思われた時代もあった。
でも、それが今の時代にそのまま当てはまるわけではない。
そんなことを、ある時話していたら、そこにいた椎野礼仁さんが、「あっ、週刊朝日でも出てましたね」と言う。
エ?私が。
あとでメールが来た。「週刊朝日(12月9日)の佐藤修史さんの「編集長日記」に書かれていた。歴史の見方についてだ。
〈朝日新聞が5年前に「革命家ランキング」という妙な企画(笑)を載せている。読者の人気投票で、1位がインド独立運動のマハトマ・ガンジー、2位はチェ・ゲバラ。③孫文④マンデラ⑤毛沢東⑥レーニン⑦周恩来⑧ホーチミン…と続き、カストロは11位だった。革命は無血とは限らない。読者が「革命家とテロリストの違いは?」と問うと、評論家の鈴木邦男氏が「信長も秀吉も、歴史上の偉い人はみな人殺しですよ」。革命は成功すれば偉人、失敗すればテロリスト。カストロは前者だったが、キューバはまだ道半ばだ〉
この記事は見てなかったので、ありがたかった。
レーニンは6位か。「日本のレーニン」と言われた塩見孝也さんはどうしているんだろう。最近、会ってないな。どっかで対談でもしましょうや。
そうだ。このテーマでやってもいいな。「革命家とテロリストの違い」についてだ。
12月29日(木)午後2時、出版社の人と打ち合わせ。
後6時、飯田橋。河合塾コスモの先生と卒業生たちの忘年会に行く。久しぶりに会う人が多くて、懐かしかったです。
④「天覧山の由来」。明治16年。軍隊の演習があり、天皇がご覧になり、それ以来「天覧山」と呼ぶようになりました。その前は「羅漢山」とか「愛宕山」と呼ばれてました。三島の『美しい星』でも、昔の名前で出てきます。
⑧翌日、12月25日(日)、名古屋に落語を聴きに行きました。春風亭昇太さんの楽屋を訪ねました。前は、よく会ってました。東中野でも自由に歩いてました。今ならファンに発見されて、大変なことになるでしょう。
⑨立川志の輔さんと。「この前、六本木のライブ、楽しかったです。挨拶に行こうと思ったのですが、人が並んでたし、高円寺で佐野監督の集まりがあって、すぐ帰りました。すみません」と言いました。あの時も、古典と現代落語を絡ませてました。どうやってサゲをとるのか。必死に考えたけど分かりませんでした。いやー、志の輔さんは天才ですね。
⑩ざこばさんと。「たかじんのそこまで言って委員会」で、よく会ってました。お世話になりました。カレー事件の林眞須美さんに面会に行ってくれたんですよね。ありがたかったです。昔やってた「ウイークエンダー」の話を聞きました。日本テレビ史上、最も危険で、過激な番組でしたね。
⑫この建物の中には、「名古屋都市センター」「名古屋ボストン美術館」「ANAクラウンプラザホテル」「タワーレコード名古屋」などが入ってます。「都市センター」の会議室では2回ほど、講演会をやりました。このセンターの中に、名古屋市全体をカバーするジオラマがありました。すごい、すごいです。
⑳竹熊健太郎さんと久しぶりに会いました。10年前。いや、20年前かな。竹熊さんが『サルでも描けるまんが教室』という本を出して、バカ売れした頃です。とても面白い本でした。その直後に会って話を聞きました。対談したのかな。
㉖2月4日(土)午後2時から、大阪・天満橋の「ドーンセンター」で、カレー事件・林眞須美さんを支援する集会があります。河合潤教授の話もあります。今、ネットで急に話題になり、関心が高くなってます。聞きに行こうと思ってます。