いやー、凄いですね。今週のトップ写真です。
右の、足だけが写ってるのが私です。内田樹さんに思い切り、投げ飛ばされたんです。これはまだ「飛行中」です。
さらに飛んで、5メートルも飛んだのでしょう。そこで、畳に叩きつけられました。もうちょっと先なら壁に激突するところでした。
中国のカンフー映画だと、投げ飛ばされ、壁に叩きつけられ、そこで受け身を取って、ズルズルと下に落ちてくる、というのがありました。でも、とても私じゃ、できません。
じゃ、天井に放り投げられて、そこで受け身を取る、なんてのもあるのかな。
いや、下に落ちてくるんだから、無理だ。天井で受け身を取って、下に落ち、そこで受け身を取って、すっくと立つ。いや、無理ですね。
それにしても、思い切り投げ飛ばされてますね。この写真。廊下にいた鹿砦社の福本氏が撮ってくれました。カメラマンもいたから、一杯撮ったのでしょう。
じゃ、これが本の表紙かな。2人の対談だけど、1人は足しか写ってない。
ウーン、こんな表紙も衝撃的でいいでしょう。
何で、又、内田さんと対戦したのか。その話からしましょう。
去年、内田さんとの対談本が出た。『慨世の遠吠え=強い国になりたい症候群』(鹿砦社)だ。去年の3月20日に発売され、5月30日で第2刷。今、手元にある本にも、「重版出来!」と書かれている。
そして、須藤元気さんの大推薦の言葉が載っている。
〈ゼロ年世代必読! 属国ニッポンの今が分かる一冊〉。
表紙は対談している二人の写真だ。
〈ともに思想家で武道家の内田樹と鈴木邦男が、戦後70年の日本社会の問題を10時間にわたり語り尽くした。対談本の概念・領域を超える、超「対談」の記録〉
おかげさまで、この本が売れた。だから、「じゃ、第二弾を出しましょう」となって、1月20日(水)の対談になったわけだ。これから何回か会い、10時間ほど対談するのだろう。
そして表紙写真は、内田さんと、飛んでる私の足ですな。空中浮揚だ。オウムみたいだ。
でも自分の意志で空中に舞ったのではない。私は抵抗してたのに、飛ばされ、宇宙に放り出されたのだ。
前回の本では、内田さんの自宅、道場だけでなく、いろんな所でやった。
大阪の映画館を借り切って、スクリーンに映画を映しながら2人で話したこともある。借り切ったので、お客さんは1人も入れない。我々2人だけで使う。他に、ホテルの部屋もあったな。
今回も、アッと驚くシチュエーションを考えているようだ。福本氏は、ともかく優秀な編集者ですよ。
それに、内田さんの自宅に来るたびに思うが、書斎が凄い。そして、隣に作った道場が凄い。
書斎は、周りに本棚を作っている。大工さんがやってくれたんだ。天井まで本がある。本を探す時は、ハシゴをかけて取る。私もやってみました。いい気分ですね。
あっそうだ。本を捨てられなくて、アパートの部屋を3部屋も借りてる人がいる。先週、その〈実態〉を紹介した。
彼も、お金があるんだから、そこのアパートを全部買っちゃって、全部書斎にする。そして巨大な本棚を作ったらいいんだ。
本棚の下の段で寝る。次の段は食事するところとか。いいねー。やってみたらいいだろう。
内田さんの本棚を見ていたら、本棚が丸々1つ、内田さんの本だけ、というのがあった。凄いな。私なんて、1段にもならない。
道場生が数人、我々の対談を聞いていた。
「皆さんは、内田さんの門弟だから、内田さんの本は全部読んでるんですか」と聞いた。
内田さんの本は、文庫本を合わせたら200冊位出てる。「いや、全部とは言いませんが、3分の2は読んでます」。
凄い。140冊位読んだのだろう。私なんて、2割位だろうな。40冊だ。もう160冊か。「読破」まで、大変だ。
それに、今だってどんどん書いてるから、いくら読んだって、追いつかない。どうしたらいいんだろう。
対談は2時間、それから下の道場に降りて、合気道の稽古。私は、忙しくて今年は柔道にも行ってない。じゃ、今年初めての稽古じゃないのかな。
体をほぐし、柔軟体操。しかし、皆さん、柔らかいし、軽い。
例えば、投げられて、受け身を取る。私なんて、べちゃっと潰れて、それで終わりだ。何とか受け身を取ったという感じだ。
でも内田さんのお弟子さんたちは、投げ飛ばされ、受け身を取っても、さらに自分から回転して、スックと立つ。
これは凄い。とても私にはできない。挑戦してみたがダメだった。
8時過ぎに私たち3人は失礼しました。電車がなくなるので。体は痛いが気分はスッキリしている。新幹線に乗ったら、すぐに眠ってしまいました。
しかし、神戸は寒かったな。「布引の滝」も寒かったし、道場も寒かった。
格闘家は寒さを感じないのだろう。精神で肉体もコントロールできるのだろう。
私は軟弱だからダメだな。新幹線の中では、セーターを着込み、ホカロンを貼って、寒さをしのいでましたよ。
そうだ。この前の日も寒かった。1月19日(火)だ。山梨県立大学だ。
レーニンさんとか、いろんな人に声をかけて、「一緒に行こうよ」と言ったんだけど、皆、「仕事がある。1人で行けば…」と、冷たい。
分かりにくいんだよ。実際、甲府に着いて、タクシーに乗って、ちゃんと地図を渡したのに、違うとこに連れて行かれた。
北海道から来た石先生も、やっぱり「池田キャンパス」に連れて行かれ、そこからタクシーで来たという。
「じゃ、きっと同じタクシーですよ。その人が飯田キャンパスと池田キャンパスの違いが分からんのだよ」と言いました。「そういえば、その前に男の人を乗せたって言ってたわよ」。
山梨は山がずーっと連なっている。その山の中から、1つだけ、ポンと高い山が顔を出している。
「あの山は何?」と運転手さんに聞いたら、「富士山ですよ」と答える。
アッそうか。こんな方向から見たことがないので分からなかった。
石先生も、あの山何?と聞いて、「富士山ですよ。さっきも同じこと聞いた人いましたよ」。
その人はこんな人じゃないの、と顔の特徴を言う。「その人ですよ。犯人は」。犯人じゃないか。
でも石先生が言うには、(自分のことは棚に上げて)、「えっ、右翼のくせに富士山も知らないの?」。
知ってますよ。でも、あんな方向から見たのは初めてだ。だからビックリしたんですよ。石さんだって、知らなくて「あれ何?」って聞いたんでしょう。
という話をしてたら、打ち合わせは終わり、本番が始まる。大講堂だ。300人ほど入る。山のように段々になっている。巨大な教室だ。
この巨大なイスと段々の山が、後ろに収まるようになっている。ボタン一つで。
そうすると、そこは広いフロアーになる。ダンス大会などをやるらしい。「ぜひ収納するとこを見たい。見せて下さい」と言ったけど、今日は「しません」。それにボタンを押しても10分位かかるらしい。見たいですね。
シンポジウムは、中国の先生、韓国の先生が2人。そして私。「日本人は鈴木さん1人。3対1ですよ」。
それは珍しい。この方が楽しみだし、燃えますね。「右翼が3人で対談しろ!」と言われる方がキツイ。
今まで知らなかったことも教えてもらい、とても有意義な時間でした。
甲府は景色もいいし、空気もいい。寒いけど、とてもいいところだ。ここは大学も多いし、アカデミックな土地だ。
山梨学院大学には、前に2回来て講演した。早大の政経の同級生の女性が教授をやっていて、呼んでくれたのだ。
他に、ここには国立・山梨大学もあるし、都留文科大学もある。アカデミックな都市だ。
夜、終わって、打ち上げで鳥料理店で飲む。「今日は、メチャクチャ混んでて、ここしかありませんでした。鳥は好きですか?」「ハアー」と言って、飲み、食べました。
夜の特急あずさに乗って帰りました。電車の中で、「あれっ、昨日もどっか、大学に行ったんだな」と思い出しました。
そうだ。早稲田でしたね。私の母校を忘れちゃいけない。1月18日(月)だ。金平さんのゼミで話をしたんだ。
早大は久しぶりだ。いいねー。大隈講堂の前で写真を撮った。まるでお上りさんのようだ。
学生が案内してくれた。政経学部の校舎はやけに立派だ。きれいだ。
私らの頃は、エレベーターもエスカレーターもなかった。学生は皆、3畳1間のアパートに住んでいた。
私は寮生活で、9畳に3人だったから、1人部屋が欲しくて仕方がなかった。そんな昔のことを思い出していた。
4時半から、金平ゼミで講演。そして金平さんと対談。
なんか年配の人もいる。「学生?」と聞いたら、「金平さんのファンです」と言う。サラリーマンやスナックのママさんも来てるようだ。凄い人気だ。
そして、三島由紀夫の話になった。東大全共闘と三島が激論したビデオを見ながら、2人で〈三島論〉をやった。
今の学生から見て、この頃の激論はどう思うのか。
訳の分からない言葉を乱発し、抽象的な言葉に命をかけて熱くなり、怒鳴っている。「下らないと思うだろう」と言ったら、「うらやましいです」と言う。
そんなことに命をかけ、熱くなることはないんだね。皆、クールジャパンだ。
じゃ、三島のような人が現れたら、又、「熱い季節」が始まるかもしれない。
早大に行った前の日は、何をしたんだろう。
そうだ。浦安に行って、「丸腰国家」の話を聞いたんだ。軍隊を捨てたコスタリカの話だ。貴重な話だった。
いいねー。そういう話を聞けるのは。知的な研鑽のためなら、自分でお金を出して、どこでも行かなくちゃ。あれれ、寅ちゃんみたいだな。
月に5万円は旅費に使って、札幌や西宮に行くと言ってた。別に私の追っかけじゃなくて、私が対談する人の話を聞きたくて行くんだよ。
本も月に5万円買うし、アパート3部屋借りて14万円だ。精神的・知的なものにはお金をかける。
アパートを1部屋にしたら、月に8万円は浮く。それでキャバクラやガールズバーに行けるよ、と私は誘っているんだけど、聞く耳を持たない。「サタンよ、去れ!」とブツブツと言っている。キリストみたいな人だ。
あっそうだ。「親分はイエス様」の鈴木さんと今度、札幌でトークするんだ。
ヤクザだったんだけど、ある日、改心して、キリスト教徒になった。そんな人が、何人もいるそうだ。
でも入れ墨は消えないし、詰めた小指もそのままだ。「奇蹟」を起こして消してもらえばいいのに。
沢山の本を出している。今、それを読んでいる。まぁ、私だって『失敗の愛国心』という本があるし、案外、似てるのかもしれない。
浦安で会った「丸腰国家 コスタリカ」に詳しい足立さんとは又、会って、じっくり話を聞きたいですね。『紙の爆弾』あたりで。じゃ、寅さんも入れて。
いやいや、喫茶店「ミヤマ」じゃなくって、対談場所を「寅ちゃんアパート」にしよう。
皆で土足で上がり、その辺に新聞紙を敷いて座る。そこで対談をする。汚い空気を吸い込まないようにマスクをして…。うん、やってもいいな。
それにしても、凄い反響でしたよ。寅ちゃんのアパートは。全国の廃墟写真集みたいだ! という人もいた。
「年収800万もあり、きれいな格好してると思ったのに、ひどいゴミ屋敷だ。寅ちゃんは人間というより、生ゴミだった」という声も。
「3部屋あるんなら、部屋を貸してもらい住みたい」という女性もいたけど、「写真を見て、あきらめました」。
困ったね。「寅ちゃん」のイメージを根こそぎ、ぶっ壊したみたいで。
「掃除に行きたい」という人は1人いた。でもね、勝手に「これはゴミ」「これもゴミ」と捨てたら、きっと大変なことになる。
「あれは、私が司法試験を目指して勉強してた頃の本だ。ゴミじゃない。私そのものだ」と言って、怒るんでしょうね。
「いや、ゴミだ! こんなゴミを保存するために金を払ってるなんておかしい!」「ウルセー」となって喧嘩になる。
周りは全部、ゴミばかりだから、ゴミに足を取られて転ぶ。そこにのしかかって首を絞める。「アッ、ヤベー、殺しちゃった」となる。「ゴミ屋敷殺人事件」だ。
そうならないように、早く、片付けなよ。皆さんも、気をつけましょう。
そのあとTBSで今まで放送した「三島由紀夫vs全共闘」を見る。当時はビデオがない。TBSは、映画として、3時間近い激論を撮った。その中の記録が残ってるとこを見せてくれた。かなり難しいテーマの話題を、難しい言葉で話している。皆、タバコを吸いながら激論している。
しかし、三島は偉い。よく、こんな訳の分からん話に付き合い、きちんと話したもんだ。我慢強いのか。いや、優しいのだろう。
そして、「討論とは何か」。我々は今、何をどう話すべきか。などについて金平さんと考えた。
授業が終わってから、車で新宿3丁目に移動し、酒を飲みながら、又、話す。「なんか知ってる感じがする」と言ったら、「だって前に来たじゃない」とママさん。ウーン、少し思い出した。
そして第2部はシンポジウム。午後2時40分から4時20分が、3人のパネラーの講演。30分ずつ。4時30分から5時30分がシンポジウム。そして生徒からの質問を受ける。
この日のテーマはこれだ。
〈戦後70年を経て、あらためて日本のアイデンティティを考える。=日中韓それぞれの視点から〉。
まず、ゲストの3人が30分ずつ講演。「日本人・日本文化の多様性と重層性」。
⑴石純姫(苫小牧駒沢大学国際文化学部准教授)
⑵鈴木邦男
⑶張 兵(山梨県立大学国際政策学部教授)
⑷(コーディネーター)徐正根(山梨県立大学国際政策学部教授)
10分の休憩を挟んで、トークが始まる。
司会の徐さんが言う。「今日のパネラーは日本人は1人です。中国・韓国の人が3人。1対3です。でも、鈴木さんは3人を相手にしても負けないでしょうが…」。
負けますよ。そんなことより、勝とうとも思ってない。今日は皆さんのお話を聞きに来たんですよ。と言いました。
とても活発な話になりました。少しでも一致点・共通点を探し、そこを拡大していこうという意欲があったので、テレビ討論のような潰し合いにはなりません。とても教えられ、勉強になりました。学生からも活発な質問が出ました。
終わって、街の居酒屋で飲みました。夜、疲れて帰りました。
そして、やっと出た。巨大な滝だ。これが有名な布引の滝か。三大名滝だ。あとは、那智の滝などだ。そっちも行かなくっちゃ。
それから、タクシーで、住吉駅へ。食事をして、カメラマンと合流し、いざ、内田樹さんの自宅へ。そこの書斎で、2時間対談。
その後、隣の道場に行く。自分の家に、大きな合気道道場を持っているんだ。
そこで、一緒に稽古に出る。体がなまっているのでキツイ。ポンポンと投げ飛ばされた。稽古してる人は皆、体が柔らかいし、軽い。私だけだよ、ベチャッと潰れて受け身を取ってるのは。
そして、途中で失礼して、新神戸へ。新幹線に乗ってビールを飲んだら、すぐに眠ってしまった。
家に帰って、又、仕事。体が痛いのに、仕事が終わらない。
そして、この本を読みました。何度見ても、凄いタイトルだ。蓮池透さん著。『拉致被害者を見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」(講談社)。〈完全に隠蔽されていた日朝交渉の全裏面史!〉と書かれている。
そうですね。今までで一番衝撃的な本でした。そして書かれてるすべては本当です。だからこそ安倍さんも激怒したんです。
①1月20日(水)。神戸の内田樹さんの合気道道場に行きました。午後3時半から対談2時間。そのあと、道場に行って稽古に参加。右の、足だけ写ってるのが私です。思い切り投げ飛ばされました。5メートルほど飛んでます。受け身を取るだけで精一杯です。