2009/08/10 鈴木邦男

三省堂で蓮池透さんとトークをした

①これは勇気のある本だ。命がけの本だ

蓮池透さんとのトーク(7/30)
蓮池透さんとのトーク(7/30)

蓮池透さんと北朝鮮問題について、じっくりと話し合った。7月30日(木)、神田の三省堂本店だ。午後7時からトークが始まる。その後、会場の人の質問に答え、終わってからサイン会。蓮池さんの著書『拉致』(かもがわ出版)の出版記念トークなので、この本にサインする。

じゃ、その間、私は休憩かと思ったら、私の本もある。三省堂の売り場から私の本も集めてきたのだ。会場に来た満員の人達も優しい。本当は蓮池さんの話を聞きに来たのだし、蓮池さんの本にサインしてほしいのだ。でも、それでは可哀想と思ったのか、ついでに私の本も買い、サインをしてもらう。ありがたいですね。久しぶりにサインをしました。

私の本では、『愛国と米国』が多かった。それに、『ヤマトタケル』『「蟹工船」を読み解く』『公安警察の手口』もあった。30冊ほどサインした。蓮池さんは100冊以上だろう。

書店のトークショーはいい。じっくりと話せるし、本も売れる。本屋さんだから本は準備してくれるし、ありがたい。他の書店でもこうしたトークはやっている。ジュンク堂新宿店、池袋店。青山ブックセンターなどだ。今まで、何度か行った。

トーク後のサイン会
トーク後のサイン会

サイン会が終わって、近くの居酒屋で打ち上げ。蓮池さんとも久しぶりだったし、嬉しかったので、ついつい飲み過ぎた。おかげで次の日、朝寝坊した。「ギョ!間に合わねえよ」と焦った。急いで東京駅に行き、新幹線に飛び乗った。「たかじんのそこまで言って委員会」の収録だ。2週分だから、5時まで、ビッチリだ。さらに、その始まる前、中間、終わってからと3本、ネット用の収録。大変だった。1本目は、和歌山カレー事件について。2本目は、三宅さん、ざこばさんと、「選挙後の政局について」。3本目は、田母神さんと「自衛隊について」。

蓮池さんとのトークの前日(7月29日)は阿佐ヶ谷ロフトで、選挙と公明党についてのトークだった。佐高信さん、筆坂秀世さん、南丘喜八郎さんと一緒にトークした。論客ばかりで、私なんて何も喋れなかった。三連チャンのトークだった。それに、溜まってる原稿があるし、他にも取材を受けたり、自分で取材したり…と、忙しい。他の人達はテキパキと片付けてるのだろうが、私は要領が悪い。それに無能だ。だから、仕事がとてつもなく遅い。どんどん溜まる。いけないな、と思いながら、暑い中、喘いでいる。

では、蓮池さんとのトークだ。

蓮池さんは、1997年から2005年まで「北朝鮮による拉致被害者家族会」の事務局長を務める。著書に『奪還 引き裂かれた二十四年』、『奪還 第二章 終わらざる闘い』(新潮社)がある。今は「家族会」事務局長を辞めた。「家族会」や「救う会」のやり方について行けなくなったようだ。そうした悩み、苦しみも今回の本には書かれている。実にいい本だ。勇気のある本だし、蓮池さんだからこそ書けた本だ。

蓮池透さんの『拉致』(かもがわ出版)
蓮池透さんの『拉致』(かもがわ出版)

蓮池さんの目的はただ一つ、拉致被害者を奪還することだ。そのために「家族会」の中心として、「救う会」の人々と共に闘ってきた。運動を続けてきた。その運動は大きくなり、国会議員をも巻き込み、「国民運動」になっていった。そして北朝鮮への批判・攻撃は強硬になり、エスカレートした。その中で、運動の本来の目的が忘れられたのではないか。蓮池さんはそのことを迷い、悩み、そして「家族会」の事務局長を辞める。

その過程はこの本の最初に書かれている。「私が変わった理由」として書かれている。実にリアルであり、説得力がある。家族会、救う会の集会には実に多くの人達が集まる。勿論、善意の人達だ。しかし、巨大な集団になると、いろんな人も入る。かなり過激な人もいる。その「過激な人」に煽られ、リードされることも多い。

〈たとえば、集会参加者の中には、日章旗を持っている方が大勢います。そうして、誰かがしゃべると、そう言う方々が旗を振りながら、「そうだ!」とか「けしからん」とか、「『朝日新聞』出て来い!」「NHKはいるのか!」とか、激高するのです。
 よく見ると、ゲートルを巻いた旧日本陸軍人そのままのような、変わった衣装の方もいます。「怖いなあ」と思って外へ出たら、右翼の街宣車の隊列があり、がなり立てているのです。そして、その街宣車から流れている演説と、私たちが主張していることと、内容がまったく同じだということに気づき、愕然としたこともあります〉

②「奪還」の主目的を忘れてはダメだ

足立正生さん、中山千夏さんと
足立正生さん、中山千夏さんと

多くの人々が支援してくれた。それは事実だ。その中で、運動がどんどん過激にエスカレートしたことも事実だ。中にいる人は、薄々そのことに気がついても、言えない。「せっかく応援してくれてるのだから」「今立ち止まったら、せっかくの運動がポシャってしまう」。そう思うのだろう。だから、「断固とした態度で臨め!」「経済封鎖を強化しろ!」という。北の核に対しては、「こちらも対抗して核を持て!」などという声も出る。運動の高揚の中で、どんな過激な発言も、「そうだ!」「そうだ!」と拍手される。それが怖いのだ。これは「集団運動」を体験した人でないと分からない。

蓮池さん自身も、その運動の高揚とエスカレートに巻き込まれ、酔い、つい過激なことを口走ってしまったこともある。と率直に認めている。〈「お前こそ拉致問題の運動を右翼的なものにした張本人じゃないか」と厳しく批判されるかもしれません〉と、言っている。石原都知事と対談した時、気分が高揚してしまい、「憲法九条はおかしい。自衛権を発動せよとまで言及したこともありました。私たちが運動を始めた時、応援して下さった中に右よりの方が多く、頼ってしまったのも事実です」と反省している。そして、こう言う。

松島トモ子さんと
松島トモ子さんと
〈しかし、いまのべたような経過により、いろいろなことがわかってきました。右翼的な人たちの中には、被害者がかわいそうだとか、人情や家族愛といった善意を前面に出して家族会を支援しながらも、実際には、彼らの目的である、北朝鮮の体制打倒に利用しようとするもくろみがあったのではないかと、いまになって感じています〉

これは重要なことだ。さらに言う。

〈率直に言って、拉致問題をめぐる日朝交渉は行き詰まっており、打開するのは簡単ではありません。その行き詰まりの背景に、北朝鮮の体制打倒を主目的とする人たちの影響があるとしたら、それを一刻も早く克服しない限り、拉致問題を解決する展望も生まれません〉

去年の4月に私は木村三浩氏と訪朝した。労働党の幹部たちと5日間話し合った。その時も、蓮池さんの言ったことを痛感した。向こうは日本の言動を全て知っている。テレビで見て、新聞、雑誌で読んでいる。「何だ、これは人質奪還交渉ではない。我が国を打倒しようとする運動だ」。そう思っているのだ。だったら、〈交渉〉の余地はない。そう思っているのだ。これはマズイことだ。あくまでも交渉のテーブルに着かせるべきだ。そのためには、あらゆる手を使ったらいい。

田代まさしさんと
田代まさしさんと

それなのに、「断固とした態度」で「経済制裁」だけを言い、中には、北の「体制打倒」を叫ぶ人もいる。これでは〈交渉〉ではない。又、少しでも「話し合い」をしようとする人に対しては、「弱腰だ」「相手の手のうちに乗る」「やり込められる」と言って反対する。

以前、横田さんがお孫さんに会おうとした時も、そう言って潰した。又、拉致被害者が「一時帰国」をした時も、「一時帰国なんて言ってない」と言って、「約束」を破った。

その「一時帰国」の約束は確かにあった、と蓮池さんも書いている。だから、「一度返すべきだ」と言うのではない。それこそ日本の「反北」ムードを背景に、十分に利用し、交渉したらいい。

「『一時帰国』の約束は守るつもりでした。でも、国民の怒りの世論が許さない。だから返せない。約束を破って申し訳ないが、理解してほしい」と言って、謝罪したらいい。「バカヤロー、拉致国家に謝罪など出来るか!」と言われるだろう。でも、どんな手を使ってでも「奪還」するのが主目的ではないか。

③金賢姫の提言は重い

小林亜星さんと
小林亜星さんと

去年4月に労働党の人と話した時も、これは感じた。向こうにすれば、「我々は小さな国だから、こんな国との約束は破っていいと思っているのか」と言う。これだけではない。「約束破り」は他にも沢山あるという。

金正日総書記は世界中のメディアの前で、拉致を認め、謝罪し、再発防止までしているのに、前に進めなくなった。謝罪すれば国交正常化するという約束を日本がしたはずなのに、裏切った。北は、そう思ってしまった。蓮池さんもそう言いう。

北を罵倒し、糾弾し、「許せない!」「滅びろ!」と言うだけでは何も解決しない。生温いと思われても、「交渉」するしかないのだ。

大韓航空機事件の金賢姫元死刑囚の言葉に、感動し、蓮池さんはこう言っている。

〈金賢姫元死刑囚が記者会見で指摘した、「北朝鮮の自尊心を傷つけないように、その心を動かす方法を考えるべきです」というのは、注目に値する発言だと思います。この発言の意味を、日本政府は斟酌し、今後の戦略に生かすべきです〉

これは賛成だ。同感だ。日本はただ北を罵倒しているだけだ。「交渉のテーブルにつくな!」と言ってるようだ。「強硬主張」は皆、国内向けなんだ。「私はこんなに闘っている」「こんなに激しい批判をしている」と日本国民に見せたいだけなのだ。向こうには全く届かない。

松元ヒロさん(左)、佐高信さん(右)と
松元ヒロさん(左)、佐高信さん(右)と

交渉するしかない。「闘う」というのなら、向こうに行って、やり合うべきだ。「いや、自分はビザが出るはずがない」と言う。そして「安心して」国内向けの強がりを言い、過激なスローガンを叫ぶ。

しかし、私だって20回近く断られ、やっとのことで北に行ったのだ。そして5日間、徹底的に話し合ってきた。私だって行けたのだ。皆も行けるはずだ。

それに、この点では、アメリカは立派だと思った。元大統領のクリントンが行き、逮捕されていた米人記者2人を釈放させた。クリントンは2人の罪を認め、謝罪し、金総書記は特別に「恩赦」で釈放したという。いや、クリントンは「謝ってない」とか、後で言ってる人もいた。まァ、釈放された後なら何を言ってもいい。ともかく、アメリカは「北の自尊心」を傷つけずに、心を動かした。たいしたものだ。日本だって、何度も何度も行くべきだ。麻生首相がダメなら首相経験者は何人もいる。どんどん送ったらいい。

④蓮池さんしか言えないことだ

白石冬美さんと
白石冬美さんと

蓮池さんの本『拉致』には、サブタイトルとして、「左右の垣根を超えた闘いへ」と書かれている。これが一番言いたかったのだろう。拉致被害者を奪還する。それが目的だ。イデオロギーは関係ない。当然のことだ。しかし、現状はそうなってない。苛立ちを込めて言う。

〈いま私は、かつてとは異なり、右翼的な人たちから、「あいつは変節した」「裏切り者」とバッシングを受けています。でも、繰り返しますが、私は右でも左でもないのです。私が願うことは、この運動が、被害者の救出を第一とするようなものであってほしいということだけです。右も左も、垣根を超えて、被害者のために連帯しあえるような運動です。そういう運動がつくれたとき、拉致問題も大きく動くのではないかと、期待しているのです〉

だからこそ、(左翼的といわれる)かもがわ出版からも本を出すし、私とのトークも応じてくれたのだろう。これは貴いし、勇気のあることだと思う。トークの時は、右翼的・保守的な人々からの、「バッシング」の具体的な話も聞いた。透さんだけでなく、帰ってきた弟さんや、両親に対するバッシングもあったという。酷い話だ。拉致被害者を批判できる人なんて、この日本に1人もいない。思い上がった人々だ。

趙博さんと
趙博さんと

かもがわ出版では、このトークも含め、何人かの人々との対談をまとめて、本にしたいという。その時には、もっともっと具体的な話が書かれるだろう。

本の帯には、衝撃的な文が書かれている。これは蓮池さんでないと言えないことだ。

〈政府が家族の意向に逆らってでも対策をとることが必要な場合もある。感情的になりがちな家族と政府が同じ水準であってはいけない〉

これも勇気のある言葉だ。何かというと、家族会の話を聞き、その要請・要望で政府は動く。それは当然じゃないかと思った。しかし、違うという。これでは政府に「言い訳」を与えてしまうだけだ。「家族会の言う通りに経済制裁した」「断固たる態度で臨んでいる」と。それだけやっているから、十分だろうと。そこまでは言わないが、そういう「言い訳」を許すことになっている。それではダメだという。家族会の意向に逆らってでも、北との交渉をしろという。それがない。又、「家族会」を支援する「救う会」になると、やたらと過激で、イデオロギー過剰だ。これが政府の対応を狭め、足を引っ張る。

〈「救う会」の幹部の方には、日本の核武装や北朝鮮への先制攻撃まで訴える過激なイデオロギーを持っている方が少なくありません。従軍慰安婦もなかった、強制連行もなかった、そういう立場の人が多いのです〉

設立当初は、いまより多彩なメンバーを擁していた、と蓮池さんは言う。でも今日、こうした強硬なイデオロギーを持った人々が中心に座っている。強固な思想を持った人は、運動に熱心だし、持続力もあるからだろう。困難な道だが、蓮池さんには頑張ってほしい。

【だいありー】
講演会のチラシです
講演会のチラシです
  1. 8月3日(月)昼、原稿の打ち合わせ。夜6時半、アルカディア市ヶ谷(昔の私学会館だ)。中山千夏さんの『幸子さんと私』出版記念会。幸子さんというのは千夏さんのお母さんだ。亡くなって1年になる。お母さんとの思い出、相克を創出版から書き下ろした。それを記念しての集まりだ。満員だった。あれっ、最近、ここに来たなと思った。「創」の私の連載でも書いたが、「永遠の革命家・太田龍さんを送る会」だった。6月23日だ。あの時も多くの、異色の人が来ていたが、今回はそれ以上だ。
     「同じ場所だね」と足立正生さんに声をかけられた。足立さんとは最近よく会う。連合赤軍の映画のトーク、平岡正明さんのお通夜、太田さんを送る会。そして、「明日はロフトですね」と言った。
     矢崎泰久さん、永六輔さん、ばばこういちさん、松島トモ子さん、小林亜星さん、などと会った。こういう時でもないと会えない人が多い。ミュージシャンの趙博さんは、河合塾の講師でもある。近くにいるはずなのに、余り会う機会がなかったので嬉しい。浅野健一さん、香山リカさん、佐高信さん、白石冬美さん、田代まさしさん、朴慶南さん、松元ヒロさんなどにも会った。ラストの方で、私も壇上で、千夏さん、矢崎さんと話をした。「革自連」で千夏さんは選挙へ出て当選したが、その前に、竹中労さんに言われて、私も「出ろ!」と言われた。その頃の話をした。もう20年以上前のことだろう。千夏さんや矢崎さんも竹中さんに紹介されたと思う。竹中さんは「左右を弁別すべからざる状況」を作った人だ。そんな時代の思い出を話した。
  2. 8月4日(火)夕方まで必死に原稿を書いていた。7時、阿佐ヶ谷ロフト。ドイツ赤軍の凄絶な闘いを描いた映画「バーダー・マインホフ=理想の果てに」公開記念トーク。
    〈革命〜70年代ドイツ赤軍の闘争史は、今なお矛盾に満ちた現代社会を激しく撃つ!〉
    と書かれている。出演は、足立正生、三島憲一(東京経済大学教授・ドイツ哲学者)、森直人(映画批評家)、そして私。ともかく凄い映画だ。ドキュメンタリーではなく、劇映画だ。まるでハリウッド映画のように超ド派手なアクションシーンも多い。実際そんな過激な闘いだった。その辺の背景などを中心にしながら話し合った。
     この映画は現在、渋谷シネマライズで上映中。新聞、週刊誌にも大きく取り上げられ、早くも続映が決まった。ぜひ見てほしい。そして考えてほしい。
(左から)佐高信さん、南丘喜八郎さん、筆坂秀世さん、鈴木邦男(7/29)
(左から)佐高信さん、南丘喜八郎さん、筆坂秀世さん、鈴木邦男(7/29)
  1. 8月5日(水)朝から図書館で勉強。夕方、高田馬場で取材。夜、このHPが500回を迎えたことを記念し、(それと、私の誕生日もあったようだ)、関口和広君が「お祝いの会」を開いてくれた。お祝いなんかされたことないので、いやだとずっと固辞していたが、せっかくのご好意なのでお受けしました。フィボナッチで。ママさんにお世話になりました。とてもおいしい料理でした。ありがとうございました。又、HPの初代管理人の赤坂さんや、現在の管理人の成島君など、多くの人が来てくれました。ありがとうございました。学生運動の時からの同志・犬塚氏、そして、一水会で昔、活躍した藤本氏も来てくれました。さらに、森田忠明氏も来てくれました。女性陣からは花束をもらいました。家に飾っております。謝謝。
  2. 8月6日(木)河合塾コスモに行って、空いてる教室で原稿を書いてた。静かだし、涼しいので仕事がはかどる。「おっ、クニオ、何してんの?」と生徒に言われた。
     6時、全日空ホテル。今はANAインターコンチネンタルというのか。でも皆、全日空ホテルといってるよ。アルカディア市ヶ谷がいつまでも私学会館と言われてるのと同じだ。改名しても意味ないよ。
     その全日空ホテルで、加藤紘一さんの「だだちゃ豆の会」に出る。「だだちゃ豆」は枝豆の中の最上級の、いわばサラブレッドだ。
     庄内藩の殿様が枝豆好きで毎日、枝豆ばかり食べていた。(東北人は皆、枝豆が好きだ)。ある日、ことの外、うまい枝豆が出た。庄内では、おやじ、おっさんのことを「だだちゃ」と言う。「これはどこのだだちゃ(おやじ)が作ったんだべか」と殿様は聞いた。
     「どごのだだちゃが作っただだちゃ?」と言ったんだだちゃ。それで、「だだちゃ豆」と言われるようになった。
     毎年、だだちゃ豆のとれる時に、この枝豆を食べるパーティがある。しかし、加藤さんも余裕だ。他の国会議員は、誰も東京にいない。皆選挙区に帰って闘っている。しかし、いいパーティだった。会場には、大きな皿に山盛りのだだちゃ豆。いたるところに豆、豆、豆。数えたら1万房あった。1房に3つの豆が入っているから、3万粒の枝豆だ。凄い! あとは、キュウリ、ナス…などだ。嬉しい。全員が豆をはじいて食べている。のどかなパーティだ。枝豆の食べ放題だ。いくら食べても文句は言われない。幸せだ。ユートピアだ。
     でも7時から高田馬場で、もう一つ、集まりがあるので、6時20分に出た。早く帰るので、6時前から行って、ひたすら枝豆を食べていた。そして、加藤さんに挨拶して、タクシーで高田馬場へ。
     ところが、神宮で花火大会があったんですな。そこに巻き込まれ、車は全く動かない。何と1時間も遅刻して高田馬場へ。まいった、まいった。普段は使わない携帯を使って、「遅れます」と電話した。「あっ、これはタクシーの運転手さんから借りたんですから」と、誤魔化した。私の判断ミスでした。電車で行けば間に合ったのに、すみませんと、ひたすら謝った。筆坂秀世さんとデータハウスの鵜野さんたちに。実は、私の『「蟹工船」を読み解く』(データハウス)の出版を祝う会だったのだ。申し訳ありません。この本では筆坂さんと対談してもらっている。そのおかげで、本に、ぐんと価値とリアリティが生まれた。ありがとうございました。
  3. 8月7日(金)朝10時から夜6時まで。河合塾コスモ。「夏の一日ゼミ」。牧野剛先生が選んだ本を、ひたすら読む。宇野弘文と内橋克人の連続対談「新しい経済学は可能か」(『世界』09年4月号〜6月号)。それと、佐野眞一の『沖縄・だれにも書かれたくなかった戦後史』(集英社インターナショナル)。知らないことが多く、とても勉強になりました。『沖縄』では元公安の島袋修さんも登場し、「あっ、この人、知り合いですよ」と言っちゃった。
     昼休みの時に、近くのルノアールに行ってコーヒーを飲んでいたら、勝谷誠彦さんにバッタリ会う。「この向かいのラーメン屋が私の店ですよ」。東京麺通団だ。あっ、そうだったのか。「今度、赤坂店を出すのでその打ち合わせ中です」。河合塾のフェローに聞いたら、おいしいので皆、行ってるという。
     この日、発売の『週刊読書人』に私の本(『愛国と米国』)の書評が出ていた。上野昂志さんが書いてくれていた。
    〈着実でありながら柔軟。
     自分の経験をベースに、愚直に考える人〉
    いやー、ありがたいです。上野先生はジャナ専の校長先生でもあり、いつもお世話になっている。本当にありがたいです。
  4. 8月8日(土)午前中、家で原稿。午後、取材。夜、柔道。「創」編集者のお父さんに会う。又、春秋社の社員もいて、「うちの社員が蓮池さんとのトークを聞きに行ってました」。出版社の人も、闘っている。いいことだ。
  5. 8月9日(日)2時、前進座で「銃口」(三浦綾子原作)の芝居を見る。よかった。原作もいいが、芝居は又、違った良さがある。
【写真説明】

①7時30日(木)神田の三省堂本店で蓮池透さんと『拉致』の出版記念トークをやりました。普段は聞けない話を十分に聞きました。会場からも活発な質問がありました。

②終わってサイン会です。私も随分とサインしました。弟さんの蓮池薫さんの本『半島−、ふたたび』(新潮社)を持ってきた人もいました。「兄 蓮池透」とサインしてました。

③蓮池透さんの『拉致』(かもがわ出版)です。衝撃的な本です

④中山千夏さんの『幸子さんと私』(創出版)の出版記念会で。8月3日(月)、アルカディア市ヶ谷です。中山千夏さんを囲んで。足立正生さんと。千夏さんは子役の時から大活躍してるから、私の上かと思ったら、5つも若いんですね。

⑤松島トモ子さんと。以前、松島さんが司会していたテレビ番組に出たことがありました。ばばこういちさんも一緒だと思います。お世話になりました。

⑥田代まさしさんと。最近、頑張ってます。田代さんも創出版から『審判』を出した。「でも、こんな出版記念会はしてくれない」と挨拶してました。じゃ、私の本と一緒にやってほしい。その前に、私の本を出してほしい。連載をまとめて『言論の覚悟』(PartⅡ)としてこれは出版する〈計画〉はあるらしいが。お願いします。

⑦小林亜星さんと。「あの時はお世話になりました」と挨拶しました。「朝まで生テレビ」で以前、ご一緒したのです。隣りでした。田原さんが休んで野坂昭如さんが司会の時だったと思います。

⑧松元ヒロさんは、突如「コントをやれ」と言われて、大変そうでした。でも面白かったです。さすがはプロです。佐高信さんとは、よく会ってます。「メシ食ってる時ばっかり写真に撮られるよな」と言ってました。

⑨声優の白石冬美さんと。「いつも聞いてます。初めまして」と挨拶したら、「何十回も会っているわよ」と言われました。すみません。竹中労さんのパーティでも会ったと言います。20年以上前からの知り合いですね。

⑩ミュージシャンの趙博さんと。この日は、「アリラン」などを歌ってくれました。昔からの知り合いです。河合塾でも教えています。体がデカイ。柔道二段だそうです。強そうですね。「今度、武道対談をやりましょう」と言ってました。ぜひお願いしたいですね。

⑪学生に呼ばれて講演をすることになりました。「こんなのはどうでしょう」とオズオズと企画書を出しました。「生麦・生米・生くにお」。いやー、いいね−。今までで一番いい。気に入った。「生麦酒・生米・生枝豆」でもいいな。これじゃ、私がいないか。じゃ、「生ウニ・生ゴミ・生くにお」。これもいいね。これからは、「生くにお」シリーズでやりたいね。
 でも、「生」でない「くにお」って、どんなんだろう。「フライドくにお」「茹でたてくにお」「つけ麺くにお」…かな。

⑫7月29日(水)阿佐ヶ谷ロフトです。「週刊金曜日」主催のイベントで。「総選挙と公明党」でした。佐高信さん、南丘喜八郎さん、筆坂秀世さんとトークしました。

【お知らせ】
  1. あの問題作、映画「靖国」の監督・李纓(Li Ying)さんの本が出ました。タイトルもズバリ、「靖国 YASUKUNI」(朝日新聞出版・1500円)。衝撃的な本です。映画「靖国」が生まれるまで。靖国問題の本質、…などについて監督が語ります。又、「ドキュメンタリーは世界を変える」というシンポジウムも収録されています。ドキュメンタリー映画監督の土本典昭さんとの対談もあります。そして、私との対談「日本人のプライドと靖国問題」もあります。またもや問題になるでしょう。
  2. 月刊「創」(9・10月号)が発売中です。私の連載では、「三バカ大将の息子」を書いてます。三バカ(竹中労、太田竜、平岡正明)には、本当にお世話になり、教えられました。「三バカ」は私の師匠です。親です。そんな思いを書きました。
  3. 「SAPIO」(8月19・26日号 小学館)発売中です。特集が〈日本史上最強の「外交英雄」は誰か〉。これは凄い企画です。私もアンケートに答えました。それと、小林よしのりさんの「ゴーマニズム宣言」には感動しました。皇學館名誉教授の田中卓先生をお訪ねして、お話をうかがったんですね。これは嬉しかったですね。私も田中先生には学生の時からお世話になってますし、教えてもらってます。皆も、ぜひ読んでほしいです。
  4. 映画「花と兵隊」が8月8日より、渋谷のイメージ・フォーラムで上映中です。国のために戦いながら終戦後、日本への帰国を拒否した兵隊たち。なぜなのか。〈もうひとつの「戦後」の記録〉です。とてもいい映画です。国家とは何か。戦争とは何かを考えさせられる映画です。
  5. ドイツ赤軍の流血の闘いを描いた衝撃の映画「バーダー・マインホフ」が現在、渋谷シネマライズで上映中です。考えさせられる映画です。
  6. 8月15日(土)昼、一水会フォーラムホテルサンルート高田馬場です。いつもは夜ですが、この日だけ、終戦記念日特集で、特別に昼の2時半からです。講師が何と、格闘家の前田日明さんです。「あえて終戦記念日!! 出撃の論理を語る」です。ご期待下さい。
     この日は、夜は、ロフトで、前田さんたちが又、激しく訴えます。両方行ってもいいでしょう。
  7. 8月17日(月)午後7時半、阿佐ケ谷ロフト。「異能の男・平岡正明追悼」のイベントです。平井玄、本橋信宏さんらが出演。私も平岡さんの弟子ですので、聞きに行こうと思ってます。
  8. 8月21日(金)〜23日(日)。劇団再生の主催で「見沢知廉生誕50年展」が行われる。阿佐ケ谷ロフト。午後7時から。「天皇ごっこ〜調律の帝国」の舞台化。そして、トークライブとして高木尋士氏と私の「死後に成長する命・言葉・人生」があります。お楽しみに。この日、50才で誕生した見沢氏は、これから、どんどん若くなって、さらに多くの可能性に挑戦するのでしょう。
     トークには、現在、映画『見沢知廉』を撮っている大浦信行監督も3回共、参加することになりました。ご期待下さい。見沢氏本人も特別出演するかもしれません。
  9. 9月8日(火)午後6時半。阿佐ケ谷ロフト。「日米安保締結から60年」記念トークです。「砂川の熱い日=米軍立川基地拡張阻止闘争の記録」上映会とトークです。
     この映画の監督・星紀市さん。それに砂川事件の元被告。弁護士さんたちが熱く語ります。主催は早大政経`63年入学同級生3名です。布川玲子(山梨学院大学教授)、浜口龍太(日本国際ボランティアセンターJVC会員)、そして私です。3人は同じクラスでした。でも思想は違い、対立してました。特に浜口氏は新左翼のバリバリの活動家でした。それが40年経って、一緒に「主催者」として結集しました。奇跡的な再会です。左右を超え、日本を考えます。砂川闘争を皆で考えます。私も今から楽しみです。
  10. 9月12日(土)午後1時から4時。「大杉栄メモリアル2009=映像とことばで日本の近現代史をふりかえる」。新潟県新発田市生涯学習センター講堂。
    第1部 映画「鶴彬=こころの軌跡」。
    第2部 講演。鈴木邦男「大杉栄と三島由紀夫=私が魅かれる理由」。
  11. 9月28日(月)午後7時、Parc自由学校で講演します。「天皇制と民主主義」です。「Parc自由学校2009」の受講案内のパンフレットが送られてきた。「連帯のための哲学=生きる場のことばと実践から」のコーナーで私は講義します。パンフレットには、私の「天皇と民主主義」の講義の紹介が書かれている。
〈天皇制と民主主義は両立するのか。天皇制は民主主義の例外か。民主主義の欠陥を補うものか。あるいは、完全な民主主義実現のためには廃止すべきものか。天皇制を「休む」という選択肢も含めて危ないテーマについて考えてみる〉